第153話 蔡瑁反乱画策
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は既に日が落ち辺りは薄暗くなっていた。
?越が野営を行う八刻(二時間)前に遡る。蔡瑁は?越軍への追撃を諦め襄陽への帰路についていた。空は赤く染まっていた。蔡瑁はその光景に目をやることもなく不機嫌な表情をしていた。彼女の周囲にいる側近の兵士も、彼女の放つ空気を感じ取り余計なことを言わないように沈黙を保っていた。
蔡瑁達が襄陽に到着し城門を潜るといつもの光景が広がっていた。
露天を営む商店主達は片付けを行い、仕事を終えた住民達はそれぞれの家路に向かっていた。日暮れということもあり人通りは少ない。
「兵達を解散しておけ。それと夜の見張りの兵の数を増やすように」
蔡瑁は軍を解散する命令を出すとともに、夜の見張りの増員に関する指示を出していた。彼女の指示を受けた側近は兵達に命令を出しに行く。その様子を彼女は確認すると側近三名と護衛の兵三十人を引き連れ、城の大通りの真ん中を堂々と進んでいた。彼女を確認した住民は深々とお辞儀をして彼女が過ぎ去るのを待っていた。彼女と住民の関係がよく分かる光景だった。
大通りを抜けた蔡瑁は寄り道をすることなく彼女の屋敷がある方角に進んでいった。
「徳珪様、大変でございます!」
蔡瑁が自分の屋敷に戻ると、血相を変えた家宰が彼女を出迎えた。家宰は蔡瑁の元までくると息を乱し喋れずにいた。
「どうしたのだ? 落ち着け」
蔡瑁は家宰の様子に気になりながらも家宰に息を整えるように促した。彼女に言われ家宰は息を整えはじめた。程無く落ち着いた家宰は騎乗する蔡瑁の足元まで駆け寄った。
「張允様の姿が見えないのです!」
家宰は動揺した様子で蔡瑁に訴えた。
「何だと!?」
蔡瑁は目を剥き出しにして驚くと、下馬し鎧を身に着けたまま屋敷の中に慌ただしく足音を鳴らしながら入っていた。彼女は張允の部屋に真っ直ぐに向かうと扉を乱暴に開け中に入った。
蔡瑁は部屋の中を何度も見渡した後、彼女は棚の中や寝台の下を組まなく見て部屋を散らかした。彼女は散々部屋を散らかし終えた後、肩をわなかせて立ち上がり鬼を髣髴させる表情を浮かべた。
「あの小娘っ!」
蔡瑁は吐き捨てるように独白したが、声音が高く側にいる者達全て聞こえるほどだった。
蔡瑁は苛立ちを隠さない表情で戸口に立って控えている家宰を見た。
「いつから姿を見なくなったのだ?」
蔡瑁は家宰に掴みかかり問いただした。家宰を今にも殺すような勢いだった。
「徳珪様、申し訳ございません。徳珪様が出陣される前では部屋におられたのですが。気づいた時にはもうお姿がありませんでした」
家宰は本当に申し訳無い様子で必死に蔡瑁に訴えていた。
「義姉上が寄越した者達はどうした?」
蔡瑁は家
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