第153話 蔡瑁反乱画策
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蔡瑁に判断を仰ぎにきた。
「秋佳は病に臥せっていて連れて行ける状態でないと伝えておけ」
「張允様に直接会わせてくれと申しております」
「病がうつると言って追い返せ」
蔡瑁は部下に淡々と指示した。部下は蔡瑁に頭を下げ去っていた。
「義姉上は私を見捨てるつもりのようだな。所詮、中央の人間ということか」
蔡瑁は眉間にしわを寄せ愚痴るとまた仕事に戻った。
「蔡徳珪様、大変です!」
部下が慌てふためいて蔡瑁の執務室に入ってきた。
「?異度様が兵を引き連れ宜城を立ちました」
「なんだと!?」
蔡瑁は顔を上げると驚いた表情で部下に言った。
「どういうことだ?」
「?異度様の配下の兵を全て引き連れて行ったもののと思われます」
「宜城に駐留する伊斗香の配下となると。七千程か? 伊斗香はどういうつもりだ」
部下は蔡瑁に頷いた。それを確認した蔡瑁は思案気な表情を浮かべた。
「伊斗香はこちらに向かっているのか?」
蔡瑁は緊張した様子で部下に尋ねた。
「いいえ、襄陽には向かっていません。進軍している方角から考えて、おそらくは南陽郡へ向かっているのでないかと思われます」
蔡瑁は激昂して机の上を乱暴に殴った。机の上の竹巻が散らばり机の下に散乱した。部下は慌てて散乱した竹巻を拾いはじめた。
「今直ぐ集められるだけの兵を用意しろ。伊斗香の背後を突く」
「?異度様を攻められるのですか?」
部下は蔡瑁の命令が理解できない様子だった。?越は蔡瑁の同僚である。蔡瑁の計画遂行上、?越の協力は不可欠である。それにも関わらず?越を襲撃するなど理解できるはずがない。
「誰を攻めるというのだ! 伊斗香め! 私を裏切り劉正礼に乗り換える腹積もりに違いない。生かして劉正礼の元に向かわせるものか!」
蔡瑁は眉間に皺を寄せ部下を睨みつけた。
「?異度様に確認を取ってからでも遅くないのではありませんか?」
「黙れ! お前はあの女の狡猾さを理解していないのだ。あの女は義姉上を見限ったようだな。劉正礼が荊州に軍を乱入させ混乱を引き起こせば義姉上の立場も危うくなるのは目に見えている」
「まさか、そのような」
部下は蔡瑁の話に半信半疑の様子だった。
「伊斗香は義姉上が荊州牧だったから従っていただけに過ぎない! あの女はそういう女だ。わかったらさっさと兵をかき集めてこい」
蔡瑁は部下の襟元を乱暴に掴みあげ、部下の顔を睨みつけ怒鳴ると掴んだ手を離した。部下はいきなり解放されたため無様に地面に尻餅をついた。
「何をしている! さっさと準備をしろ!」
蔡瑁の表情はかなり緊張していた。部下も蔡瑁の緊迫した雰囲気を感じ取り慌てて執務室を出て行った
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