第一話
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私は思わず呟いた。
これはどういう事だ。
一瞬にしてここを包んだ炎。目の前の男の炎に包まれた手。
それは、かつて海賊を目指した私にとって、想像するに容易い事だった。
「あんた、悪魔の実の能力者……?」
「隠してもしょうがねェしな!」
テンガロンハットの男がニヤリと笑う。
悪魔の実。この能力はきっとメラメラの実だ。とすればこの男はあの白ひげ海賊団二番隊隊長、ポートガス・D・エース?そんな男が目の前に立っていると言うのだろうか。佇まいを見るに否定はできない。今は炎で見えないが、そういえばあの船は白鯨船だったかもしれない。となると隣の男は一番隊隊長…?
ゴオオオオっと派手な音を立てて、辺りに益々炎が沸き立つ。
私は暑さと酸素の薄さで意識が朦朧とし始めていた。
「おいエース!流石にやり過ぎだよい」
…………エース…やっぱり……
燃え盛る炎の中、私はパタリと意識を失った。
***
「んっ……」
目を覚ますと、そこは知らない部屋だった。
私が横たわっているのは柔らかいベッド。そのベッドの隣には赤茶色の質素な机が置かれ、無造作に束ねた地図が散乱していた。地図の傍にはログポースとエターナルポースが2、3個。
何となく心地の良い部屋だった。
その心地良さに身を委ねようと再び瞳を閉じた時、私は我に返った。
「……ここ何処?!」
バッと起き上がったその拍子に身体が床に放り出される。床に頭を強く打ち付け、思わず「いっ…!」と声を漏らした。
ジンジンと痛む後頭部を抑えて立ち上がると、部屋の外からドタドタと足音が聞こえた。
やばい。見つかる。
こんな時に私の思考は少しも使えなかった。
見つかる……?いや、そもそもここは何処なんだ?
そんな思考を揉み消すようにバアンと大きく扉が開け放たれた。
「……おっ起きたのか、お前」
ポートガス・D・エースだった。
「君……さっきの…」
特に何かを言おうという気も無かったが、口が勝手に開いていた。
彼はそれには答えずゆっくり私に近づいて来る。
まるでさっきと同じようだった。
ただ一つ違ったのは、
「大丈夫か」
不思議と微塵も感じない恐怖感。
差し出された広い手に有り難く手を伸ばしたが、一瞬思い留まってその手をパシンと振り払った。
「!?」
ポートガス・D・エースは驚いたような半分怒ったような顔をした。
「……君、誰よ?」
一応解ってはいるが、どうしても訊いておかなくてはいけない気がした。それに自分から名乗ってもらわない限り、本当にこの男がポートガス・D・エースなのかも解らない。
「俺ァポートガス・D・エース。この船、白ひげ海賊団の二番隊隊長さ」
やっぱり。ポートガス・D・エースといえば5億五千万
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