マブラヴ
1037話
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ていたからこその服従だったのか?
確かにそれは普通にありそうだが……俺としては、素直に懐いて欲しかった。
「ちょっと待て。それじゃあ何か? 俺ってこいつにアウルよりも格下だと思われてるって事か?」
「さて、その辺はどうか分からないが……そこまで正確に相手の力量を見抜けるって訳でもないだろうし」
野生の獣の本能で相手の力量を大まかに感じ取れはするかもしれないが……いや、牧場にいる時点で野生でもなければ、ワイバーンなんだから獣でもないのか?
「ぬぅ……なら、こっちにも考えがあるぞ。ちょっと待ってろ!」
そう告げ、スティングはワイバーンの前から走り去る。
向かう先はこの牧場で作られたソーセージやチーズ、牛乳を始めとしたお土産が売られている売店。
……おい、まさか。
そんな風に思った俺の予想は見事に当たったのか、1分も掛からずに戻ってきたスティングの手にはブロックのベーコンが存在していた。
「ベーコンを手にしてるけど……まさか餌付けとか?」
「うーん、確かにワイバーンってのはドラゴンなんだから、一応肉とかは好きなんじゃないの?」
「でも、そんなに上手くいくかな?」
「あのベーコン、美味しそうね。後で帰りに買っていこうかしら。今日の夕飯はあのベーコンを使ったパスタなんていいかもしれないわ」
「どっちかと言えばアスパラと炒めたのとかがいいんだけど」
背後から聞こえてくるそんな声。
最後の方には夕飯のメニューになっているけどな。
そんな声を聞きつつ、ベーコンを持ってワイバーンの近づいて行くスティングをアウルと共に見つめる。
「ほら、ベーコンだぞ。お前がいつも食ってる餌よりも随分上等なものの筈だ。だから大人しく食べて、俺を乗せ……」
そう告げた、その時。
パクり。
まさにそんな擬音が相応しいような感じに、ワイバーンはスティングの頭部に噛みつく。
それを見た瞬間、ワイバーンに攻撃を仕掛けようかと思ったが、その噛む力が殆ど強くない、いわゆる甘噛みという奴だと気が付き、攻撃の態勢を止める。
「ちょっ、おい、アクセル! スティングが! いいのかよ、おい! あれ!」
混乱したように呟くアウルだが……
「うわっ、臭い、濡れてる、湿ってる、動けない、顔が動かないぞ! おい、何だよこれは! おい!」
ワイバーンに食べさせようとしたベーコンを手に持ち、あたふたと騒いでいる声が聞こえてきたのか、安堵の息を吐く。
背後の観客達も一瞬息を呑んだが、今のスティングを見れば、これが何らかの悲劇の類ではないと理解したのか、その緊張感もあって思わず笑みを漏らすのだった。
「おい、何か笑い声が聞こえてくるぞ? おい、一体何がどうなってるんだよ!」
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