第十五章 忘却の夢迷宮
第六話 それぞれの決意
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が……」
二本の交差した杖が描かれた旗を見上げながら、ルイズとキュルケが疑問の声を上げていると背後から近付いてくる影があった。
「あら、随分と遅かったわね」
「っ、あなた―――」
「……事前に何も聞いてなかったから仕方がないじゃない……で、この騒ぎって結局何な訳? あなたは何か知ってるのかしら……ミス・トオサカ?」
突然背後から掛けられた声に慌てて振り返ったルイズたちは、腕を組んで不敵な笑みを浮かべる凛の姿を見て苦々しい顔つきになった。自分の姿を見て顔色を変えるルイズたちを面白そうに眺める凛の後ろには、鎧に身を包んだセイバーの姿があった。セイバーは凛を睨み付けるように見るルイズたちに苦笑を浮かべると、凛とルイズたちの間にさり気なく身体を割り込ませた。
「おはようございます。ルイズ、キュルケ……これで全員揃ったようですね」
ルイズたちの後ろにいるギーシュたちを見渡したセイバーは、小さく頷くと凛に目配せをした。
「そのようね―――っふあ……あ〜全く、なんでこんな朝早くにやるのかしら。こっちは朝はもっとゆっくりしていたいってのに……」
「リン、はしたないですよ」
大きな欠伸に対するセイバーの小言に、凛は片手をひらひらと振って応えながらルイズたちをぐるりと見渡した。
「ま、色々と聞きたいことがあるだろうけど、もう少し待ちなさい。説明しなくてもどうせ直ぐにわかるから……ただ、まあ覚悟はしておきなさい」
「覚悟?」
「って言うか全員? 何言ってるのよ? シロウがいないじゃない。それにタバサも。二人は何処にいるのよ?」
「だから直ぐにわかるって言ってるでしょ」
詰め寄るルイズたちを凛が適当にあしらっていると、延々と続いていたロマリア軍の歓声がやんだ。
「え?」
「なに?」
「……始まるわね」
「そのようです」
ルイズたちが戸惑う中、凛とセイバーは直ぐに突然歓声が止まった原因へと顔を向けていた。直ぐにルイズたちも凛とセイバーの様子に気付き、二人が顔を向ける方向へと視線を向けた。
「え? もしかしてこの集まりって臨時のミサ? 何よ人騒がせね」
ルイズたちの視線が向かう先には、壇上の上で手を挙げているヴィットーリオの姿があった。先程までの五月蝿い程の歓声とはうってかわって黙り込み祈りのポーズを取るロマリア軍の姿に、キュルケが非難がましい声を上げた。
そうこうしているうちにヴィットーリオの口から朗々と祈りの言葉が流れ始めた。どうやら正解のようだと溜め息を吐いたキュルケが、警戒して損したとばかりに苛立たしげに鼻を鳴らし凛に鋭い視線を投げかける。
「そう早合点しないほうがいいんじゃない?」
「何よ?」
「いいから、もう暫らく様子を見てなさい」
余裕の態度
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