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フリージング 新訳
第30話 Sanction 2
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まったくと言っていいほど、サテライザーはアーネットの攻撃に反応する事ができなかった。
おかしい。アーネットはずっと目の前にいた。では何かの幻術か?

「驚いてるところ悪いけどさ…」

ニヤリと、獣の様な笑みを浮かべ、アーネットのボルトウエポンである大鎌、
「サイスマキナー」がしっかりとした実態を持つ。

「私は、ただアクセルを使って、攻撃してからここに戻ってるだけだよ?」

そして、再び姿が消えた。
落ち着け、冷静になれ。アーネットはアクセルを使っていると言っていた。
ならば、こちらもアクセルで応戦すればいい。

「アクセル!」

アクセルならば負けることはない。この女と同レベルの戦闘を繰り広げたカズトと、同等の速度を出すことができたのだから。

だが、サテライザーはここで失念していた。それは二つ。

一つ目は、カズトのアクセルが今でも自分と同等だと思っていたこと。
カズトの細胞は日に日に侵食率を増している。故に、アクセルの速度は先日よりも上がっている。
二つ目は、アーネットのアクセルが、あれで最速だと思っていたこと。

「それ、アクセルのつもり?」

四方八方からの斬撃。それは最初の何倍にもなる速度を持った斬撃だった。

「教えてあげる。これが、ダブルアクセルだよ??」

そしてその刃は、サテライザーの首を刈り取ろうと、振り上げられた。







「サテライザーさん??」

ラナが、切り裂かれるサテライザーの名を呼ぶ。だが、その隙はラナにとって敗北を意味するものだった。

「余所見か?」
「くっ??」

顔面へと繰り出されたクレオの拳を、ギリギリで避け、その懐に入る。

「これで終わりであります??」

サテライザーに使おうと隠していたが、やむを得ない。拳を振りかぶり、一気に勝負を決め……

「遅いな。」

られなかった。アッサリと、発動前に止められたのだ。

「なっ??」
「パンドラ同士の戦闘では、拳法のような構えのある攻撃は不向きだ。」

クレオは語り出す。拳を止めず、ラナへと攻撃を繰り出し続ける。
あまり力を入れているようには見えない。タメも何もない。ただ速さのみに特化したような、そんな拳だ。

ーなのに、どうしてこんな威力が??

「威力など、ボルトウエポンでカバーすればいい。」

ラナの疑問に答えるように、クレオが言う。

そして、クレオの姿が増えた。
テンペストターン。イングリットも使っていたハイエンドスキル。それが、ラナとクレオの差だ。

四方向からの拳撃に対応できず、全身を殴り倒され、遂にラナは倒れ伏した。


カズトの騎士がヤられ、アーネットとクレオは、互いにカズトへと歩みだす。


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