暁 〜小説投稿サイト〜
英雄は誰がために立つ
Life11 本命
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ので、全ての罠が空振り状態で終わっていた。
 そん光景を、罠と敵の謎の爆発攻撃を警戒して施設外に出られていなかった軍人と、罠を仕掛けた本人が唖然として見ていた。

 (な、なんだありゃ!?何かが罠一帯を駆け回っているのは辛うじて判るが、ブレててよく解らん!)

 しかしそれでも、彼はアーチャークラスにて招かれたサーヴァント。
 凝視しながら見ていくと、ある程度は目が慣れて来る。

 (このまま何にもせずに負け戦になるのも癪だし、仕掛けるか)

 そうして自身の弓であるイチイの弓に毒矢を翳して待つ。
 そして――――。

 (ここ、だろっ!)

 丁度自分のベストポジションに入った所に、戦車(チャリオット)の騎手の後頭部付近を狙撃した。
 そしてそのまま吸い込まれるように戦車(チャリオット)の騎手の後頭部まで弓矢が当たろうとした直前に、騎手の左腕が前を向いたまま矢の(へら)を掴みとった。

 (マジかっ!?)

 思ってもいなかった防御に、驚愕を隠せずにいた。
 そして同時に悪寒が走り、霊核の2つの内の1つである頭部内で警告音が鳴り響いたので、経験則も働きそのまますかさず霊体化してその場を離脱する。
 そしてその判断が正解だったようで、敵アーチャーが消えたコンマ0,001秒後に、戦車(チャリオット)に乗っていた騎手の青年が槍を突き刺していた。

 「チッ、逃がしたか。けど、まあいいか。それより次に行かないと、なっ!」

 そのままその地点を飛び退くと同時に、タイミングよく来た無人の戦車(チャリオット)に乗り込んで再び空を駆けていく。
 それらを終始見ていた軍人達はあまりに圧倒され過ぎて、空を駆けて去って行く戦車(チャリオット)を呆然と見送るしかなかった。


 −Interlude−


 ほぼ同時刻。
 ゼノヴィアは今も(・・)1人で修業に真剣に取り組んでいた。
 しかしその格好は包帯だらけだった。
 彼女は既に悪魔の身なので、デュランダルだろうとアスカロンだろうと聖剣の扱いを少しでも誤れば、反動により多かれ少なかれ怪我をしてしまうのだ。
 しかし、ゼノヴィアは生粋の聖剣使いとしての才能があるため、徐々に慣れつつあった。
 そんな真面目に修行している最中に、ある違和感を感じた様だ。

 「?何だ・・・?」

 気のせいかと思い、また聖剣と向き合う。
 しかしその違和感は正しかった。
 事実、此処から20キロ前後しか離れていないグレモリー家本邸や、一誠の修業地の山では今も直激戦の途中で、冥界の大地を震わせていたのだから。
 しかし、なぜ彼女だけが気付かないのかと言えば、ゼノヴィアを中心とした半径5キロほどの敷地内で、周りの音や景色を偽装する魔法をかけている
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