20.また出会う日まで
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ングアベル。別名空気読めない男とも言う。
一通りの事情を理解しながら、取り敢えず日記の記述を警戒していた判断は正解だった事を悟る。
もし剣も持たずに呑気に祭りにくりだしていたら……ぶるりと体が震えた。
「そうだ、俺と戦ったミネットは……?」
「ああ、彼女にはどうやら悪質な呪いがかかっていたらしくてね……君を襲ったのもそれが原因だろう。今は『偶然近くにいた』女神のフレイヤが解呪を試みているよ」
「呪い……やはり額の印はよくない物だったか……呪いの内容は?」
「さあ?でも、解呪するフレイヤは心底機嫌が悪そうだったから、相当碌でもないものなのは間違いないね。まったく誰だいあんな小さな女の子に物騒なものをかけたのはっ!」
どうやらヘスティアはまだ呪いをかけた主がリングアベルを殺そうとしていたことまでは知らないらしい。偶然巻き込まれただけだと勘違いしているようだ。それを言えば更に状況が混乱する気がしたリングアベルは、一先ずミネットや呪いの事が分かるまでは黙っていることにした。
もしこの暗殺めいた襲撃が失った記憶に関係するとしたら――最悪の場合、一人で片づけなければならない。二人を巻き込むわけにはいかない。
なお、共に戦っていたビスマルクもミネットが気絶したことですっかる大人しくなり、代わりにミネットの周囲に変な奴が近寄らないか睨みを利かせていたらしい。魔物との間にも友情は宿るものだね、とヘスティアは意外そうに語った。
「ちなみに!美しいのか、その女神フレイヤは?神をも魅了する美の女神だと聞いているぞ!?」
そしてこの食いつきの良さである。
実は一度その美の女神の視線に不快感を感じていたことは本人さえも気付いていない。色んな意味で道化すぎる男だが、そんな道化についつい乗ってしまう弟子も弟子。ベルは感想をきっちり報告した。
「僕、ちょっと見たんですけど……絶世の美女といって過言ではないと思います。正直ちょっとくらっとしましたけど、ヘスティア様曰く見惚れすぎると『魅惑』にかけられて骨抜きにされちゃうらしいですよ?」
「おお……!これは是非ともお近づきに――」
「リーンーグーアーベールー!?」
「………し、失礼。何でもないぞ、うん。女神ヘスティアの魅力的な美貌しか俺の目には映っていない」
「本当?」
「本当だ!」
「じゃあ二度とナンパしない?」
「……女性に声をかけるのは男の仕事だ」
「駄目じゃないかっ!!」
最近のヘスティアの気迫はリングアベルのマイペースを崩すレベルに到りつつあり、特に女性関係のだらしない部分にはかなり容赦がなくなってきている。その様子はどことなく、だらしない恋人の目移りに嫉妬する彼女のようだ。
頭の上にプンスカ湯気のようなものを噴出して「ボクは怒ってるぞ
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