有波ー下校編
Part19 無意識に意識
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での長距離移動は骨が折れる。
ほら、見ろよ俺の足。まるで生まれたての子鹿みたいだろう?
心配そうに此方を度々振り返ってくれるこいしの存在なくして、俺は頑張れていないだろう。
もしフランだったのならば抱えてダッシュくらいできるのだが、贅沢は言えまい。
これがもし罪袋とかならば、俺は能力に頼った賭けをしただろうからな。
「それにしても寒いですね、こいしさん」
俺のスタミナを奪っている要因の一つがこれだ。寒い、ただただ寒い。
おかしいだろ、今は純粋な夏だぞ、なのに冬なみに寒いとはどういうことだ。働けよ、夏。
「そうだね、そろそろ春だと思うんだけどなぁ……」
「いやいや、こいしさん、春はもう過ぎましたよ。今は夏です」
「夏?夏は七月とか八月とかじゃないの?」
「そうですよ?」
「え?」
「え?」
……何故だ?何だか話が噛み合ってない気がしてならない。
えーと、こいしはそろそろ春って言っていて、でも今は夏で、でもこいしも夏が何時からか知っていて……。
あ、あれ、頭がこんがらがってきたぞ、こんなに頭悪かったっけか、俺。
……いや、昔から頭はかなり悪かったな。運動神経もあいつと比べて、随分と悪かったしな。
くそっ、誰か俺の長所を見つけ出してくれ!
「あ、有波ー」
「なんですかこいしさん?私は今自分の存在について色々と……」
こいしの声が聞こえてきた為、思考を一時停止させて目の前にいるこいしを見た。
しかし、こいしのいる方向を見た瞬間、俺は恐らく生涯で一番の速さで携帯を取り出した。
無数……とは言わないまでも、相当数の妖怪が、まるで壁のように目の前に立ち塞がって居たからだ。
鬼のような風貌の奴らもいれば、犬に角がはえたような奴もいる。
……なぁにこれぇ。
「あ、あれ?おかしいな、この道、普段はあまり妖怪いない筈なんだけど」
こいしが妖怪の山を見て、少し汗を流しながら呟く。
普段はあまり妖怪がいないのか……でも俺が通った時に限って妖怪が現れる……。
……ふっ、やはり俺の運はパーフェクトだぜコノヤロウ。
「携帯さんお願いしまっす!『妖怪の力を0に』」
直後、目の前の妖怪全てが地に平伏した。力が無くなり、立つことも出来なくなってしまったのだ。
こういう命令の場合は俺にも反作用として同じ力がかかるようだが、俺は妖怪じゃないから問題なし。
地に平伏した妖怪達はなにが起こったのか分かっていないらしく、驚いたように目を見開くもの、鬼気迫るような表情で此方を睨んでくるものもいる。
まあいくらでも睨むがいいさ。さあ、こいつらを踏み台にして早く脱出しよう。
「よし、行きますよこいしさ……ん」
こいしを見てみると、こいしも
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