有波ー下校編
Part19 無意識に意識
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「えっと、その、私はですね、何と言いますかその……ここが何処だかわからないのです。なので、道を教えてもらえると……」
助かります、と僅かに上目遣いをしてみる。
0と100の能力を使ってもいいんだが……多分、俺の事だから色々ミスしまくって、最終的に遠い場所にワープしてしまう可能性もある。
確実たる方法を取るのは、武人として大事な事だ。
「道?うーん……」
こいしは呟くと、少し考えるように唸った。
むぅ、少し時間をかけているな。フランみたいに即了承してくれると思っていたから、少し計算外だ。
断られたらどうしよう……俺、生きていけるかな。
もしそうなったら、携帯様の力をお借りして何とかしよう。
「うーん、何か変な感じだなぁ。人に何かを頼まれるなんて、初めてで」
あ、そうか、何か迷っていると思ったら、ただ人に頼られる事に慣れていなくて戸惑っているだけなのか。
彼女、こいしは無意識を操る。
周囲の人達は無意識のうちにこいしを見ようとしないし、こいし自身も無意識に行動する。
気付かれない存在であるこいしが人に頼まれごとをするなんて、まず今まで無かったことだろう。
しかし助かった。この流れだと、断られる可能性は殆ど無いだろう。
「うーん、まぁいっか。いいよ、連れてってあげる」
こいしは道案内を快く引き受けてくれた。
やったぜ!これで俺の生存率は跳ね上がる!
運命よ、俺をどうにかしたくば、原作キャラ全てを俺の敵にして、尚且つ俺を別次元にでも封印するんだな!
フハハハハ!
……いや、本当にされたら俺の心が折れるんで、やんないでください。
「じゃ、飛んでいこうか」
「あ、すみません、俺空を飛べないので歩きでお願いします」
「えー……ま、いいや。じゃあこっちだよ。ついてきて」
「有難うございます」
こいしは浮いていた足を地面につけ、俺に背を向けて暗い道の先を目指して歩き始めた。
わざわざ徒歩の俺に合わしてくれるとは、やはり妖怪、というか原作キャラは優しいやつが多いな。
いやぁ、人の為に行動出来るのはいいことだよ。うん、いずれ大成するさ。
「そういえば有波って、何で私に気付けたの?無意識に私から目を離す筈なのに」
「え?あー、それはですね……」
うーん、何と言ったらいいか。
そうだな……言うなれば……。
「何かこう、オーラを感じ取ったんです。というかそう思ってて下さい」
「へー、何か凄いね」
「でしょう?」
こうして俺達は歩き始めた。
洞窟の奥深くへと。
数分後ーー
「ゼェー、ハァー」
「えっと、大丈夫?」
はぁ、はぁ、思ったよりも重労働だった。
足場が不安定かつ慣れない場所
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