第十話『新たな敵』
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の皆を探すから、千歳も手伝ってくれ」
「分かった」
そう言って、管理室のあった建物の方へと向かった。正確には、その残骸の元へだが……。
20メートルほど歩いていくと、残骸の中に何人かの人影があった。
「皆!大丈夫か!?」
俺の呼び掛ける言葉に、安堵の様子の応答が帰ってきた。
「月くん。僕たちは大丈夫。誰も怪我してないよ」
と佐伯が語りかけてきた。見れば、優衣架の姿も見える。
「瀬田広一は?」
ふと彼の姿が無いのに気づき、二人にたすねるが、
「探してみたんだけど、姿が見えないわ。建物は爆発で綺麗に吹っ飛んじゃったから、残骸の下敷きにされてるとは思えないわ」
佐伯も同様に頷いていた。つまり、どさくさに紛れて逃げたか。等と考えていると、ここで俺は、一番時を共にしてきた親友がいないことに気がついた。
さっきまで隣にいたはずの陵太の姿がない。戦闘機が墜落するその瞬間まで隣にいたはずのその姿が。
「陵太……陵太!!」
返事は帰ってこない。
「おい陵太!!どこにいるんだ!!」
まさか、爆風で……もしくは破片でやられたんじゃ……。
そんな最悪の状況を考えそうになった、その時……。
「そんなに騒がなくても、ここにいるよ」
一メートルほどの柵の向こうから声がしたと思うと、陵太がひょこっと顔を出した。
「お前……心配させんなよな」
ニッと笑った陵太は、膝についた泥を払いながら、
「お前が逃げろって叫んだ瞬間、柵を飛び越えて土手を転がったのさ。お陰で爆発によるダメージは皆無だ」
流石は陵太だ。あの瞬間、0コンマ数秒の時間でこの判断力、頭が上がらんよ。
「そうか。よかっ……た……?」
親友の無事で安心したのか、急にからだの力が抜けて、地面に崩れ落ちてしまった。
「おい零斗!!」
陵太がすぐさま俺のところに駆け寄ってくる。他のみんなもそのあとに続いてこちらに走ってきた。
「しっかりしろバカ」
「ははっ…。ちょっと血が抜けすぎたかな……」
等と笑って見せるが、実は腹部の傷がかなり痛い。はやく傷口を消毒しないと、感染症の恐れが出てしまう。
感染症……ね。今一番かかりやすいのは、多分アラビアの感染症ってやつなんだろーな。なんて考えていると、陵太が俺に肩をかしてくれたので、それに甘える。
「病院に行こう。ここからなら、神河西総合病院が一番近い。移動しよう」
俺たちは一度、この傷の処置をすために、病院へと向かうことにした。だが……。
「グルルルルルル……」
その声に全員がハッとして、声がした方を向くと、そこにはざっと数えて10体ほど、おぞましい格好をした感染者達が、行く手を阻んでいた。
「クソッ!爆
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