第2話 変わり果てた日本
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った彼女は制服についた汚れを払っていた。
「怪我はないか?」
「あ、はい、大丈夫です……」
「本当にすまないな、前を確認していたらぶつかる事も無かったんだが」
「い、いえ、私の方もちょっと欲しかった物が買えたので急いでいたから」
こうしてみると彼女は引っ込み思案なのだろうか、俺の顔色を窺っているとしか思えないような様子だ。
まあ彼女の性格なのかもしれないな、来ている制服が今の日本として考えた場合、非常にいい素材でできているしよく確認しなかった事が悔やまれる。
情勢と自分自身を鍛えるという事を先に回し過ぎたな、帰ったら調べておかないといけないか。
「じゃあ、お相子だな」
「はい!」
彼女が欲しかった物というのは今も抱きしめるように持っている、本が入っていると思われる物だろう。
目の前の少女に機にしないようにという意味も込めて、微笑みに近い表情になってしまって言ったが、彼女も同じように華が咲いたと言える笑みを浮かべて返事を返してくれた。
「じゃあ、私、失礼しますね」
「ああ」
そうして別れようとした瞬間、少女のお腹から可愛らしい音がくぅと鳴り響く。
「あ、あぅぅ……」
「…… 腹が減ってるのか?」
俺に聞かれた事による羞恥か、顔を真っ赤にした少女は声にならない声を上げていた。
彼女の自尊心を傷つけないように注意はしつつも問いかけた俺の言葉に、頷きを返してくる。
「えっと、今日は朝を寝過して食べれなくて、昼もこれを買いに行っていたから食べれなかったんです……」
「寮の食堂ってわけか」
「はい…… 夕食までまだ時間があるから……」
どうやら海洋技術統合学院は全寮制のようだ。
更には今の日本の状況を考えれば簡単に買い食いなんて出来るはずもないか、現在の時刻は14時を少し回った辺り。
ふむ、丁度良いかもしれないな。
「じゃあ、俺の弁当を一緒に食わないか?」
「えっ?」
初対面の人間からの誘い。
まあ普通なら受ける訳もない俺自身としては、受けてくれたら情報が手に入るチャンスが出来てラッキー位にしか考えてなかったりはする。
美少女と言える目の前の女の子と一緒に食事が出来るかもしれないという、そんな邪な感情はあったりするけどな。
「まあ、天然の素材が手に入ってなそれを俺が調理した奴にはなるが」
「天然の食材なんですか?」
「ああツテがあってね手に入ったんだ」
そうして少し考えた少女が出した結論は俺の誘いを受けるというものだった。
まあ合成食じゃない天然物の食材を使っているという事に惹かれたのかもしれないけどな。
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