第2話 変わり果てた日本
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この日本を救う為に振るうとかそういう考えには全く至らない事、これがやっぱり俺が異邦人なのだと自覚する事でもあった。
空腹を感じて俺は昼食にしようと思ったんだが、艦内で俺が作って持って来た弁当を下手な所で食おうと思ったら妙なことになるのは確実だ。
ここに来る前までは状況を甘く見ていた、やっぱり向こうの世界の日本の基準で色々と判断してはいけないな。
「どこで食うとするか……」
思わず小声で漏れた声だが、正直な話で言えばもっと情報と言えるものを収集したいし、更には弁当食うためだけにアストラナガンの中に行くのも大袈裟だ。
弁当の中身は体を動かす事もあって少し多めにしてあるのだが、シンプルに卵焼きにタコさんウィンナーやデミグラスソースをかけたミニハンバーグ、俵の形に握った塩おにぎりといった内容だけど、今の日本で言う所の天然品だけで占められている。
ここに来るまでに一度だけチラリとみる事が出来た合成食の弁当の見た目とは違って、天然の食材を使った弁当だと分かるのだ。
あの明らからに美味くなさそうな合成食の弁当しか口にしていない人達の目に触れる、もしくはあの程度の量じゃ足りない子供たちの目に触れればどうなるか、火を見るよりも明らかだ。
「適当な所を探して食うか」
結局はそれになってしまう。
人気のない所を探して食う以外にないな、何しろ金持ちがこういった弁当を持っているのならばともかく、今の俺は市井に紛れる為に普通の人と同じ格好をしている。
こんな弁当を持っていることがバレれば確実に面倒なことになるだろうな。
今の俺は戸籍はおろか、この国にはそもそも生まれていない事になっているのだから。
「見つからなかったら持って帰ればいいか」
どうしても見つからない時はアストラナガンの中で食うか、それか持って帰って食えば良いだけだとポジティブに考えるしかない。
もっとマシというか、そんな世界であればどんなに良かったか、そんな事を考えていた俺は少しだけ周囲への注意が散漫になっていたのだろう。
「きゃぁ!!」
「っと」
曲がり角を曲がった時に突然、胸の辺りに衝撃を感じた俺は立ち止まってぶつかった人を確認する。
白い制服、たしか海洋技術統合学院とか言っていた今の日本に存在する最大である学校だったはずだ。
茶色の髪に黒いカチューシャを着けて、少し気の弱そうな表情と瞳を浮かべた少女はぶつかって尻もちをついて少し痛そうにしていた。
「前をよく確認していなかった、すまないな」
「あ、いえ…… こちらこそ、すいませんでした」
尻餅を付いている少女へと向けて手を伸ばして彼女を立ち上がらせる。
立ち上が
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