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黒き天使の異邦人
第2話 変わり果てた日本
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これが別な世界とは言ってもかつて俺が住んでいた日本という国の現在の姿なのか…… あの当時でも言われていた事がある。
 それは日本が海洋を完全に封鎖された時はどうなるのか? という事だ、この答えが目の前に広がっていた。


「食料は食料管理庁と呼ばれる所からの配給で、外食産業は衰退しつつはあるが、金持ちや要人が利用する高級店は普通にあるみたいだな」


 そんな住宅街を抜けて、こんな状況になる前は市民の憩いの場となっている筈であった噴水がある広場には、食料管理庁と書かれた無人車による食料の配給が行われていて沢山の人が群がって配給される弁当形式の食糧を受け取っていた。
 事前に確認した通りでもあるな、食料に関しては厳しい統制下にあり庶民が利用できるような外食産業は衰退の一途を辿り、かつての日本の様に闇ルートの食料品も手に入りにくい。


「やっぱり、海面上昇によって陸地が後退した事が大きいのか……」


 第二次大戦中の日本であっても、戦後の混乱期はともかくとして戦時中に統制下に置かれている時は、まだマシといえたはずだ。
 あの当時は家庭でも農業を軽くではあるが行えるくらいの土地があり、更には広大な平野もあった事で普通に農業や酪農に畜産を行えており、市民は配給するだけではなく横流しという闇ルートでの食料調達の方法もあった。
 だからこそ、庶民向けの多種外食産業が衰退する事はなかったんだが、陸地が減り農業に活用できる土地が減った上に海洋を遮断されたという影響の凄まじさをみる事が出来ていた。


「電気の販売や、海中から椅子をサルベージしての販売…… 逞しいよな、やっぱり」


 そうやって歩いていると俺の時代とは違う電車、まさにSF映画に出てきそうな電車を改装して様々な商売を行っている者達の店舗が現れる。
 電気の販売は電気自体も配給制となっていることから、蓄電型のバッテリーに電気を供給する商売であり、間違いなく俺の時代にはなかったものだ。

 そう考えるとあの当時の俺達の暮らしは本当に贅沢なものだったのだと、そう理解させられる。


「海面上昇と海域封鎖が重なれば、こうなってしまうのか……」


 ただ、こんな状況であっても子供達は元気に走り回って遊んでいて俺が幼い頃に遊んでいたゲーム機の変わりが、そこら辺にあるタイヤとか廃材なのは状況を感じさせてくれるものではあった。

 これが、今のこの世界に置いての日本の姿。
 正直にいえばショックを受けなかったと言えば嘘になる、あの様々な物に溢れて食事にも困る事はなかった国が、この世界ではこのような状況に置かれている事、それになにも感じなかったかと言われれば嘘になる。

 だけど、俺にはこうした状況を打破は難しいだろうが動かすだけの力はある、あるけど
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