十三話:食事と日常
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が一番だよ」
「糖分が流れたら糖尿病じゃないのか?」
実際私はいつもそうしているとか言っている場合じゃない。
本気でこいつが糖尿病にかかっていないか心配になって来た。
「心配するな。私ぐらいになると食べた物をすぐにエネルギーに変えることが出来る」
「本当ですか!?」
「騙されるな、ヴィヴィオちゃん。どうせ後で体重計の上で絶望するぞ、こいつは」
ドヤ顔で嘘をつくミカヤだが、天使のように純粋なヴィヴィオちゃんはそれを信じてしまう。
こいつが食った物を全てエネルギーに変えられるのならあのおっぱいはしぼんでしまうのだから。
俺としてはもし本当だとしても全力で止めたい所だ。
「ところで、どうしてリヒター君は一緒に居るのかな?」
「店に入ったらドナドナされました」
あの瞬間を俺は忘れない。テレビの中から現れる幽霊の女性のように髪を垂らしたミカヤにガッシリと肩を掴まれた恐怖を。
店員に憐みの視線を送られながらも生贄として差し出された絶望を、俺は忘れない。
「そっか、二人は仲が良いんだね」
「……なのはさんの仲良しの定義って何なんですか?」
「全力でぶつかり合えば仲良しだよ!」
「なんて男らしい考え…っ!」
ニッコリと優しげな笑みを浮かべて言われた言葉は非常にシンプルかつ男らしいものだった。
これが高町なのは……尊敬する。
ヴィヴィオちゃんが常に明るく強いのはきっとこの人の影響なんだろう。
「サインは家宝にします」
「えぇっ! 今の会話でどこに私の評価を上げるところがあったの?」
「全てです、なのはさん」
俺のドナドナされた、という会話からミカヤと仲良しだと確信した思考とか。
男らし過ぎて危うく惚れそうになった持論とか。
その全てが俺の中のなのはさんへの尊敬度を跳ね上げた。
と、そこでヴィヴィオちゃんが戻って来る。
「リヒターさん、ミカヤさんが先に帰っちゃいましたけどいいんですか?」
「俺はドナドナされただけで別に一緒に来たわけじゃないから大丈夫だ」
「……? でも、これを渡されましたよ」
可愛らしく小首を傾げながらヴィヴィオちゃんが一枚の紙切れを渡して来る。
俺は嫌な予感を感じながらその紙切れを受け取る。
その紙切れの正体は、伝票だった。
そして、俺の端末に写真と音声付きのメールが来たことが知らされる。
無表情のままそれを開くと―――
『お支払いはお願いしますにゃん?』
猫耳を着けて猫のポーズをとるミカヤの写真とふざけた音声が開封された。
後ろで固まっている二人を無視して俺は無言のまま伝票に書かれている値段を確認。
そして、自分の財布の中身を確認して―――絶望した。
「リヒター君
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