九校戦編〈下〉
九校戦八日目(8)×対三高戦とその後について
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、アレ」
草原ステージは遮蔽物が無いから、観客席から直接フィールド全域が見渡される。しかしそれでも距離があり過ぎて細かい部分が観えないから、他のステージと同じように大型ディスプレイが各選手を映し出している。一高陣地を映した画面には、一真の黒い戦闘服にレオのマント姿に幹比古のローブ姿を凝視していたエリカだったが、まるでお手上げのように首を振った。
「ダメ。あたしじゃ何が目的か分からない。一真君の事だから、ハッタリとか使わないタイプだと思うんだけど。深雪達は前にいるから、そっちに行けばよかったかも」
「精霊はいつも通り吉田君に群がっているけど、それ以外は分からない」
眼鏡を外した美月はそう言うが、最近眼鏡を外すようにしたのは見えないモノを見える美月だけが出来る事なので、訓練として眼鏡を外して見ようとしていた。時代錯誤か場違い感があるレオと幹比古の衣装にざわめいていた観客が多かったが、嘲笑や冷笑の類はほとんど見られなかった。観客達の意識は、半世紀前に使われたであろうマントやローブを一体何に使うのか?という好奇心だった。対戦する三高は好奇心だけでは済まされない。
「ただのハッタリじゃないのか?」
チームメイトであるディフェンダーの一人が言ったが、一高との対戦のみだけ人数が三名から六名となっている。なので本来の三人は決まっていたが、残りの三名は主にディフェンスとしてモノリスの周辺にいた。
「奴はジョージの事をよく知っているが、早撃ちの時に対戦をした名無しとの対戦時、『不可視の弾丸(インビジブル・ブリット)』を使ったからか。それ対策なのだろうだろうが、何でどう使うかまでは分からない」
「確かに僕の魔法は貫通力が無いし、まさか早撃ちの時の相手が彼だと知ったから対策したように見える。それでも布一枚で防がれるようなものじゃないし、彼がハッタリで考える対策をしてこないと思う」
「そういう風に思わせる作戦かもしれないぜ?」
「その可能性も無い訳ではない、が・・・・」
歯切れの悪い一条のセリフに、智謀を自負していないが悔しさで一杯であった吉祥寺。
「・・・・分からないな。まさかこの期に及んで隠し玉を用意していたなんて・・・・」
「全くの無警戒ではないが、一高戦のみ人数が増えた所でリスクがあるのはあちら側だと思っていた。だが人数が多ければ多い程、奴は冷静に対処してみせたから今迷いがあったら見切られてしまう」
吉祥寺の迷いを断ち切る為であるが、まだまだ俺の実力が分からないが一条は少し強い語調で言い切った。だからと言って、一条自身に戸惑いが無い訳がないが、観客にとって好奇心の元は対戦相手にとって警戒心の元である。選手達や応援席からは知る術は無いが、スタンドがざわめいた理由はもう一つあった。本部席近くのスタ
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