―一手―
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――生きてる。
最初に思ったことはそれだった。次にサイバー・エンドに討ち滅ぼされる自分と、こちらをただ見据えてくる亮の姿。この世界で敗れた者は消える運命の筈だが、どうやら自分は生きているらしい……いや、もしかしたら地獄か何かか。
両手足が無事に動く感覚と、デュエルディスクの感覚はある。それだけ確認できれば充分だとばかりに、俺はゆっくりと目を開けた。
そこに広がっていたのは、幸いなことに地獄ではなく。満点の星空と見渡す限りの砂地……と、自分が今までいた異世界の姿と遜色ない。
しかし、そんなことより遥かに重要なのは。
「エクゾディオス……?」
自分が敗れたにもかかわらず、まだ世界に現存しているエクゾディオス。そして、そんな神のカードの前に立つ一人のデュエリスト――カイザー。亮の前にはモンスターはおらず、それでもエクゾディオスは亮に迫っていた。
「亮……亮っー!」
――そして、時は少し遡り。
「…………」
遊矢を必殺の一撃で仕留めた亮は、しばし黙祷を捧げるように目をつむる。弟を守るために地獄が見える地平を目指そうとも、こんな形で決着をつけたくなかった、と親友を悼み――すぐにそれを中断する。
「……カイザー――」
「――近づくな十代!」
デュエルが終わったからか、駆け寄ろうとしてくる十代たちを制止する。まだデュエルは終わっていない、と確信した亮は辺りを注意深く観察する。
「エクゾディオスが消えていない……!」
亮に続き気づいた三沢が呟くと、十代たちも遅れて警戒する。神のカード――その恐ろしさを身を持って知っている彼らにとって、不気味にも動かないエクゾディオスは不気味な様相を呈していた。
……そしてエクゾディオスの背後から、ゆっくりとその人物が歩み寄ってきた。理知的な雰囲気を漂わせた青年であり、その顔には笑みが浮かんでいた。
「お前は……」
「アモン!?」
その現れた人物に面識がなかった亮の代わりに、十代が驚愕の意を示す。その十代の名前で亮もアカデミアに来ている留学生、という話を聞いたことを、亮も思い出したが……臨戦態勢を解くことはなかった。
「流石はカイザー亮。その名に違わぬ腕前だ」
「……そういうお前は、随分と物騒な気配をしているようだが」
面々からの疑惑の視線を受け流すと、アモンは先のカイザー亮のデュエルに拍手を送る。その後、懐からゆっくりと一枚のカードを取りだした。
――《封印されしエクゾディア》。
「元々そこの神のカードは僕のなんだが……遊矢くんに奪われるついでに殺されてしまってね。取り返しに来たのさ」
以前遊矢に敗北したアモンは、この世界の宿命通りに消え去ることとなった。だが、手
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