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ダンジョンに復讐を求めるの間違っているだろうか
主神、加治神訪問
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の手に負えないほどに店員が取り乱し、声も大きくなったところで、その声を聞き付けて、店の奥から朱髪の女性が疲れを隠しきれていない顔を出した。

 「も、申し訳ありませんですっ!ヘファイストス様!!」
 「おお、ヘファイストス!やはりここにおったか」

 その女性に店員は主神に迷惑をかけたと思い、再び恐懼して頭を何度も下げて、テュールは相好を崩した。

 「あら、テュールじゃない」

 テュールの声に朱髪の女性、鍛冶神ヘファイストスが彼女を見付け、同じく微笑を浮かべて、テュールに歩み寄った。
 テュールはヘファイストスと天界から度々顔を合わせる仲だ。

 「昨日、『神の宴』に来ていたと聞いて、驚いたわ。会えたらよかったのだけど」
 「はははっ、まあな、そんなことより、今いいか、ヘファイストス」

 昨夜の悪夢を思い出し、口元を引き()らせるテュールは話題を本題に移そうとした。

 「うーん、立て込んでると言えば、そうなるのかしら。取り敢えず、何の用で来たかは訊こうかしら」

 ヘファイストスは少し憂鬱そうな眼差しを天井、もとい三階にある執務室で今も土下座をしているであろう神友(しんゆう)に向けてから、テュールに向き直って言った。

 「妾の眷族に武器を作ってほしいのじゃ」

 そのヘファイストスにテュールは何とでもないように言い放った。

 「………………あまりこういうことは言いたくないのだけれど、テュール、あなたのファミリアに私の団員の鍛えたオーダーメイドの武器を買えるようなお金はないと思うのだけれど」

 そのテュールに一拍置いてからヘファイストスは油断なく鋭い目付きととも言う。
 僅かに、だが確かな緊張が空気を張り詰めさせる。

 「そうじゃな」
 「…………言っておくけれど、値引いたり、ただで作ってあげるたりはしないわよ」

 なおも平然としているテュールに疑念を抱きながら、なおも念を押す。

 「無論じゃ。妾は平気で他の神の懐を喰い漁るようなどこぞの幼女神とは違う。それに、御主に限って、自らの団員をおとしめるような真似はせんじゃろうしのう」
 「その台詞を今すごく聞かせてやりたい神友が上にいて、あなたと同じお願いをしているのだけど」
 「そうか、どうりで、疲れた顔をしているんじゃな」

 テュールの真意を探ろうとヘファイストスが言った言葉にテュールは依然として平然と答える。

 「…………どういうつもりなのかしら?」

 無為な腹の探り合いを打ち切ってヘファイストスが単刀直入に訊いた。

 「なぁに、ちょっとした物々交換をしたいのじゃ」

 テュールは腹の探り合いに勝ったと言うかのように勝ち誇ったような笑みを浮かべると、核心に迫った。

 「物々交換?
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