主神、加治神訪問
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転しておるように見えるが、まだ気が抜けぬようじゃ」
「そうだな」
主神の言葉にノエルはデイドラに視線をやって呟くように言った。
「では、今日はデイドラを頼む、ノエル」
テュールは机に予め用意していた背嚢を掴むと、扉に歩き出した。
「了解した」
「ん?もう、行くのか」
「うむ、できるだけ早く帰ってくる」
「わかった。いってらっしゃい」
「道中気をつけて」
簡潔に言葉を交わして、テュールは彼女には少し大きすぎる背嚢を背負って普段着の純白のワンピースを翻して、眷族二人に見送られながら、去っていった。
◇
「くふっ…………ここか。やっと、着いたぞ………………」
ホームを出て、半時間してやっとテュールは北西のメインストリートにある鍛冶系ファミリア内で最も規模の大きい【ヘファイストス・ファミリア】の支店の前に立っていた。
道中何故かジャガ丸君を売っている出店の女性店員に襲われ、ひとしきり撫でられた後に大量のジャガ丸君を押し付けられて、それを歩きながら食べていると、完全に腹が膨れ、横腹まで痛くなったということもあったが、それ意外なにごともなかった。
(くっ…………思わぬ伏兵がいたが、何とか彼奴等に会わんと着けたから、よかろう)
テュールは気持ちを切り替えて、白髪の少年が衆目を意に介せず張り付いている陳列窓の横を通って支店に入っていった。
「頼もう」
「はい、どういった…………あれ、迷子になったのかな?」
入ってきたテュールを見て硬直した犬人の女性の店員は一瞬後には事務的な笑みを綻んだものに変えると、膝を折って言った。
「わ、妾は神じゃ!神テュールじゃ!」
「えっ!?し、失礼しましたですぅっ!!も、も、申し訳ありませんですぅっ!!」
テュールは店員の対応に顔を真っ赤にさせて叫び、店員は飛び上がるようにして驚愕。そのまま目を白黒させながら頭を何度も下げた。
制服のスカートから覗くシアンスロープ特有のふさふさとした尻尾はかくかくとありえない角度に折れ曲がっていた。
「てゅっ、テュール様、き、今日はどういった御用件で、い、いらしたのでしょうか?」
自分の余りにも不敬な言動に店員は完全に恐縮を通り越し、恐懼の域に達していて、テュール自身でもその姿には流石にいたたまれなくなった。
「い、いや、それほど固くならんでよいぞ。アポをとらんで来た妾も悪いわけじゃし」
「そ、そういうわけにはいきませんですっ!!わ、私のしたことは、か、神を愚弄するような、げ、言動でありましてっ――」
「ちょっと、今度は何よ」
テュール
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