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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第36話 追悼
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必然の結果であったのかもしれない」
いまだに覚えている、師の脳天を木刀で克ち割った感触が手に生々しく残っている。
人を殺したのはアレが初めてというわけではない。大陸の前線では治安など無いに等しい。
最前線の壁として送り込まれる犯罪者を徴兵した兵士、そして中韓連合との共同戦線。何より好転する兆しのない消耗戦。
人は異星種との最前線であっても隣人の脅威があった・
毎日のように強姦・殺人などの凶悪犯罪が起き、処刑の銃声が止むことはなかった。
そんな中、襲われることもあったし、仲間やゆいを守る為に殺した事なんぞ数えきれないほどにある。
だけども、それに対し特に心が動くことはなかった――――恐らく、自分の中でそういった邪悪に手を染めた人間は人間じゃないと、“同じ人”であるというカテゴリーから排したのだろう。
まるで邪魔な“物”を壊すのに近い感触だった。
だが師匠だけは違う……人と認識したまま手に掛けた――己が手に掛けた初めての人だ。
「必然……?」
「師匠は継承者であり伝承者だった―――己はあれは、最後の伝授であったのだと思う。」
「最後の伝授……ですか。」
「ただの剣客を剣士として完成させるための最も初歩的かつ最期の試練―――恐らく、それは不退転の覚悟なのだろうな。
諦めも後悔も死んでからで間に合う……生きている限り、戦って戦って戦って……そして勝つ、そして生きる。
そんな覚悟の伝授こそが最期の伝授だったのだと、己はそう思う。」
ある意味では最も初歩的な、しかしそれ故に真髄。
それを伝授された、師の命と引き換えに―――故に、己は修羅道を止まれない。
足を止めてしまったのでは、ゆいの死が、師の死が無価値で無意味となってしまう……それだけは許せない、人の死は絶対に無碍であってはならないから。
「それでは双方に殺意はなかったと?」
「明瞭な殺意はないだろうな、極限状態では相手の生き死になど考えているのは二流だ。戦闘中は相手の剣をどう躱し、どう切り込むだけか―――それしか頭に残らないものさ。
真剣でない人間が、真剣での命のやり取りで生き残れる道理はない。」
重々しく口にする忠亮、殺意の在処なんぞどうでも良い。
「難しいモノですね。」
「そういうものさ、だから剣客は必然とリアリストに近い思考になる。ある意味獲物として人間を見ている人間のほうが人間の本質を学習しているものさ。皮肉にもそれは客観的という事だからな。」
「それはあまりに冷たい考え方だと思います。」
「日和見して最も大切なモノを売り渡す阿呆よりかはマシだと思うが?息をして飯を食っていれば生きていると思っている家畜どもには狂人と映るのかもしれないがね。
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