第十一話 鬼械
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し、いなす。
光芒を放つ槍は正確無比にダメージを与えていく。
さながら鬼のように。
さながら、機械のように。
さながらーーー《鬼械》のように。
イメージが彼の姿と重なった瞬間、
ゾクッ……!
本当にわずかな間、《鬼の機械》と目が合った。
その時間だけでも、身震いした。
ポーションを渡していた手すら止まってしまった。
この感覚にアルゴは覚えがある。
以前にもこの感覚を味わったことがある。
あの日、リュウヤと初めて相見えた時。
さっきのとほとんど変わらない悪寒に晒された。
そしてそれはある記憶を呼び覚ます。
アルゴが予感した、リュウヤの未来を。
それが完全に形になる寸前、リュウヤが敵に状態異常を発生させ、自身の体力ギリギリのところで離脱してきた。
つまり、撤退は成功。リュウヤが来てからの被害はゼロだ。
だが、その前にあった被害は、考えたくもない悲惨な現実を彼らに突きつける。
軍の主力プレイヤーの死。
それも一人ではなく多数。
かけられる言葉は無かった。
辛うじて生き残った軍のプレイヤーたちが地に膝をついて打ちひしがれている中、リュウヤはゆっくりとその足を動かし、リーダー格らしきプレイヤーの前で立ち止まった。
「おい」
一言。たった一言だ。
言葉として認識していいか分からない、ただの呼びかけ。
それだけで呼ばれたプレイヤーをすくませる。
「てめえが何するべきか、分かるよな」
特に声を張っているわけでもないリュウヤに、リーダー格らしきプレイヤーはコクコクと首を縦に振る。
その反応を見てリュウヤは、もう何も言うことはないと言うようにその場を去って行った。
「じゃあな、アルゴ」
去り際にかけられた言葉にアルゴは何も言い返せずにリュウヤの背を見送ることしかできなかった。
彼の目を見た瞬間、射竦められたのだ。彼自身にその気はなくとも、アルゴは目を見ただけで固まってしまった。
彼の目から見えた、血の通わない機械のようで、恐怖を体現する鬼のような冷たさに。
むしろそれは逆に良かったのだろう。
今声をかけてもリュウヤに言葉が届くとは思えない。むしろ神経を逆なでするような行為になりうる。
そして、この場にいる全員が目に焼き付けた。
一匹の《鬼》の姿を。
リュウヤはそこから二日間の記憶が曖昧だ。
憶えているのは、目の前で散っていくプレイヤーと、モンスターの得物が自らを捉えようとする光景。
その記憶はクエストの時のものか、はたまた翌日行われた二十五層のフロアボス戦のものか。
後で伝え聞いた話で、軍は最前線から離れたという
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