第十一話 鬼械
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
いつの間にかリュウヤに置いてかれていたアルゴは目的地まで全力で走っていた。
リュウヤが血相変えて走り去っていく様を見ていたのもあるが、昨日リュウヤの話を聞いていたことも相まって、アルゴの顔にはリュウヤのと遜色ない焦りを滲ませている。
リュウヤに秘匿しろと言われたクエスト。初めは渋ったが、内容を聞くにつれそうせざるを得ないと思い始めた。
そのクエスト内容とは、簡単に言えば敵一体を屠ればクエストクリアという至極単純なものだ。
だが、その簡単なクエストの割に報酬が見合わない。報酬が足りないのではない。十分過ぎるほどにあった。
それが余計怪しかった。リスクとリターンがまるで噛み合っていない。もはや罠だと正々堂々言われているほどに。
けれどその話だけで秘匿を決行したわけではない。それだけで決定を下すくらいならアルゴは情報屋としてやっていけてはいない。
アルゴが秘匿した大きな一因は、リュウヤの発言によるものだった。
彼曰く、モンスターの強さはフィールドボス並み。攻略組のフルレイドでようやく倒せるくらいだそうだ。
攻略組の中でもキリトやアスナ、ヒースクリフといったトッププレイヤーに引けを取らないリュウヤがそう言ったのだ。
だからアルゴはリュウヤの要求を呑んだ。
リュウヤにしては珍しく、申し訳なさそうにしていたのが新鮮だった。
だが一つ気になることがあった。
どうしてリュウヤはモンスターの力量を測ることが出来たのか。
クエストボスとも言っていただけあって、クエストを受けなければ出現してこないはずだ。
まさか、彼はーーー
その思考がゴールにたどり着く前に、アルゴは目的地にたどり着いた。
そして一番初めにアルゴの目に映ったのはーーー
鬼……?
ーーー違う、リュウヤだ。
軍のプレイヤーたちを後退させ、しんがりを務めているリュウヤがアルゴの目に映ったのだ。
彼の倍はある体躯を持つモンスターの手で振るわれる戦鎚を紙一重で躱しながら、彼の槍が閃き敵を穿つ。
リュウヤのその行動から、必死になって被害が大きくなるのを食い止めようとしているのは分かる。
だけど、ナニカが違う。決定的に違う。
彼から感じられるナニカがアルゴにそう直感させていた。
なんの戦力にもならないアルゴはリュウヤの戦闘を遠巻きに見ながら負傷者の手当てを手伝った。
その間も休むことなく奮闘するリュウヤの姿が目の端に映るたび、アルゴは彼の姿に一つのイメージを重ねていった。
巨人に立ち向かう英雄ーーーではない。
巨人すら戦慄させる、《鬼》。
最小限の動きで敵の攻撃を躱
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ