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聖愚者
3部分:第三章
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爵の御子息のことでありまして」
 フランスの有力な貴族の一人である。その嫡男の婚約相手がまだいないのだ。この時代結婚といえば家と家、国と国のつながりを深め強めるものなのだ。
「実はです」 
 そして女帝もここで言うのであった。その重い玉座の上から。
「我が国のヴォズェット伯爵もまた娘が」
「そうですか。その方はどういった方ですか」
「後で肖像画を送らせて頂きます」 
 こんな話をするのだった。
「それで宜しいでしょうか」
「はい。御願いします」
 そしてここでルブランもまた言うのであった。
「こちらも御子息の肖像画を用意してありますので」
「ではそれで」
「御願いします」
 婚姻の話を進めるのだった。この婚姻はロシアとフランスの二国のつながりを深め強めるものだった。プロイセンを見据えて同盟を強めようとする二国の国益になる為のものなのだ。

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