最終六十六話:俺ノ為ノ世界
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変わらない」
まだ、文句を言おうと口を開こうとするクロノスだったがオリジンの手によって制されてしまう。
そのことに歯噛みするものの基本的にオリジンには逆らえない為にルドガーを終始睨み付けるだけに止まる。
オリジンはそんな友の様子に少し微笑みながらルドガーに話しかける。
「いいよ。君の願いを叶えよう」
「ありがとうな、オリジン」
「君なら……ただ一つしか望まない君だからこそ安心して願いを叶えられるんだよ」
オリジンの言葉に微笑み返したルドガーは次にイッセー達を見まわす。
全員が戸惑いの表情を浮かべてはいるものの誰一人としてルドガーを疑っている者はいなかった。
まず、リアスがルドガーに微笑みかけ、口を開く。
「大丈夫よ。あなたはユリウスさんも言ったように頑張ったんだもの。ちょっとぐらい我儘言っても罰は当たらないわ」
「俺の願いだったら世界が色々変わるかもしれねえけど……お前の願いならいつも通りの日常が来るだけだろ。何の心配もしてねえよ」
「当たり前しか望まないルドガー君だからこそ叶えられる願いでしょうね。私が願ったら本当に世界が壊れちゃうかもしれないわ」
リアスの後に続けて笑いながらイッセーとヴァーリが続ける。
信頼されているのか、無害な人間だと思われているのかと思い苦笑を浮かべるルドガーだがすぐに時間がないことを思い出してオリジンに向き直る。
「最後にもう一度だけ確認するよ。本当にその願いでいいんだね?」
ルドガー・ウィル・クルスニクという男が願う世界は実につまらないと言ってもいいだろう。
ある者なら世界の恒久平和を願うかもしれない。
また、ある者なら世界を壊したいと願うかもしれない。
もしかすると愛する者が一生平和に暮らせる世界という優しい願いを抱く者もいるかもしれない。
だが、ルドガーの願う世界はそのどれとも違う。
世界平和なんて考えもしない。
どれだけ世界に見捨てられ、憎悪を抱くようなことがあっても世界の崩壊なんて求めない。
愛する者が平和に暮らすことを望みはするが、それは自分の腕で掴み取ってこそだ。
ただ、当たり前の―――愛も、憎しみも、悲しみも、楽しさもある、今と何も変わらない世界。
これからどんな困難が降りかかってきても構わない。
どんな悲劇が繰り返されるとしてもそれが当たり前だと受け入れる。
でも、たった一つだけこの世界に望むのは―――愛する家族が傍に居る事。
それが彼の願う―――創り出す世界だ。
「この世界を―――俺の望む世界にしてくれ!」
眩い白の閃光がルドガー達の視界を覆っていった。
それから数日後、一組の男女がスーパーで買い物をしていた。
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