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ルドガーinD×D (改)
最終六十六話:俺ノ為ノ世界
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自慢の兄貴だよッ!」
「そうか……俺は幸せ者だな」

 本当にこれ以上の幸せは無いといった風に呟くユリウスをルドガーは強く抱きしめ返す。
 思えばいつも兄は、自分勝手に自分を守り、相談もせずに一人で何でも決める、過保護な兄だった。
 でも、自分にとっては大事で、大好きな、誰にでも自慢できる大切な兄だった。
 そんな兄に自分こそ何が出来ただろうか?

「兄さんは……どうして俺なんかの為に全てを賭けてくれるんだ?」

「何を言うかと思えばな。お前だから―――全てを賭けて守りたいと思えるんだ」

 泣きそうな声で問いかけてくる弟に苦笑し、骸殻をスリークオーターにまで落として目を合わせて笑いかけるユリウス。
 ルドガーはその顔に悲しさからか、嬉しさから、クシャリと顔を歪めてさらに続ける。

「……こんな守られてばっかりの弟で良かったのか?
 いつまで経ってもこんな泣き虫な弟で本当に良かったのか?」

 まるで子ども様な声で尋ねてくるルドガーにユリウスはいつかのように穏やかな笑みを浮かべて答える。



「それこそ―――当たり前だろう」



 その言葉を最後にユリウスは黒い靄となりルドガーの腕の中から消え去る。
 残ったのは支えを失いガックリと膝をつくルドガーだけだった。
 イッセー達はそんな悲痛な様子にかける言葉が見つからずにただ沈黙していた。
 
「兄……さん」

 魂が抜けたような声で呟くルドガー。このまま、ずっとこうしていたかった。
 しかし、世界は時間を与えてはくれない。
 沈黙を破るように突如として世界に歯車の音が響き渡って来る。
 ルドガーが顔を上げてみると、そこにはいつの日にか見た『審判の門』が広がっていた。
 最後の一人になったルドガーを再び“審判を越えし者”として選んだのである。

「やはり、貴様が最後の一人となったか」
「クロノス……」

 腕を組み審判の門の前で漂うのは時空を司る大精霊、クロノス。
 そして、ルドガー達の前に炎と共に現れる今回の審判の元凶となった存在、無を司る大精霊、オリジン。
 根源を司る者達が審判を超えた証を携えルドガー達と対峙する。

「久しぶりだね、ルドガー。早速だけど君の願いを聞こうか」

 オリジンは先ほどの兄弟のやり取りを知っているのか、時間がないことを悟り、願いを促す。
 ルドガーもいつまでも兄の死を悲しんでいるわけにはいかないと思い、一刻も早く黒歌を治すように頼もうと口を開きかけるが。

―――本当にこれでいいのか?

 ふと、そんな考えが彼の頭によぎる。
 このままいつかのように大切な何かを天秤にかけて差し出された方を捨てるのか。
 同じ様な結末を何度も繰り返すのか。
 自分はみんなに助けてもらった
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