最終六十六話:俺ノ為ノ世界
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って彼女を救うようにオリジンに頼むんだ。そうすればお前の時歪の因子化もなくなり、彼女と生きていける。それに……お前程じゃないがさっきの戦いで俺も時歪の因子化が進行した」
ルドガーの反論を許さずに言葉を続けるユリウス。
実際のところユリウスの言うように兄弟はどちらか片方しか生き残ることは出来ない。
そしてどちらかが生き残った所で時歪の因子化の解除を願わなければ寿命を待つことなく死ぬ。
しかし、時歪の因子化の解除を願えば黒歌が助からない。
ルドガーと黒歌が生きていくにはユリウスの選択しか道は無いのだ。
だが、それを頭では分かっていてもルドガーは認めることが出来ない。
「なんで、なんで……兄さんを二度も―――殺さないといけないんだッ!!」
思いの丈を込めて叫ぶ弟の様子にバツの悪そうな表情浮かべるユリウスだったが彼の意志は固くまるで水が流れ込んでいくように自身を侵食していく時歪の因子化にも眉一つ動かさずに耐えている。
その様子にイッセーは納得がいかずに何か反論をしようとするが他に方法が思いつかずに弱々しく地面に手を叩きつけることしか出来ない。
「弟の為なら何度だって命を差し出すのが兄貴なんだ。分かってくれ、ルドガー」
「分かりたくない…っ! なにか、なにか方法があるだろ!?」
「お前も、エルや彼女の為なら何度だって命を差し出せるだろう?」
その言葉に思わずハッとするルドガー。
自分が同じ立場に立った時どうするかを考えると……やはり兄と同じ行動にでるのだ。
本当に自分達兄弟は、いや、自分は兄に似たのだと思うと誇らしさと共に悲しさが湧いてくる。
時歪の因子化が退き見えるようになった右目で兄の様子を確認すると自身の骸殻を発動し、完全に時歪の因子となる準備を始めていた。
「ルドガー……お前はもう十分頑張ったよ。色々な物を沢山背負って、お前は本当に頑張った。
だから、もう―――頑張らなくてもいいんだ」
ルドガーから全ての時歪の因子を自身に移し替え槍を引き抜くユリウス。
そして、優しく語り掛けながら弟を強く抱きしめる。
ルドガーは硬い鎧の下から感じられる温もりに涙が止まらなくなる。
やっと、再会できたのにあっという間に引き離されるという現実が兄弟を見る者の心をどうしようもなく締め付ける。
「なあ、俺はお前に何をしてやれただろうか?
……お前にとって格好良い、憧れの兄貴で居られたのか? 俺がお前の兄貴で良かったのか?」
「当たり…前だろ…っ! 全世界で一番の…っ、
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