1部分:第一章
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れますし」
「我が国がオーストリアと戦争をすればオーストリアの味方になり」
スペイン継承戦争及びオーストリア継承戦争である。この時フランスはオーストリアと仇敵の関係にあった。この仇敵関係も実に長いものでありそれこそ神聖ローマ皇帝にオーストリアを治めるハプスブルク家が入ってからのものである。数百年に渡るものであったのだ。
「プロイセンと戦争すればプロイセンに味方する」
「全くです」
先程話していた七年戦争のことである。
「尊厳王やシャルル七世陛下に敗れたのを忘れたのか」
「次に戦う時はその時こそ」
「そうだな。これまでの借りを全て返してやる」
そのことを強く誓うルブランであった。黒い深い知性を讃えた目が強く光る。
「次こそはな」
「はい。それでは」
「しかし」
話が一段落したところで馬車の窓を見る。だがそこにあるのは見渡す限りの平野である。人家の一軒も畑もなく本当に何もない場所であった。
「ロシアに入ってからこうした風景ばかりだな」
「ええ。そうですね」
「話には聞いていたが広い」
まずはこのことを実感したルブランだった。
「しかも何もないな。恐ろしい国だ」
「もうポーランドからロシアに入って三日目ですが」
「それでも何もないとはな」
「これがロシアですか」
「しかもだ」
ルブランはここでさらに言うのであった。
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