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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第121話 人生は夢……あるいは
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戦意はくじかれる。
 確かに火行を持ってすれば、精神に火を着ける事は可能ですが、それは暴走を生み出しかねない危険な物。暴走する軍隊など百害あって一利なし。

 矢の雨の中、まったく被害を負う事もなく走り抜けるガリアの騎兵。

 刹那、両手で高く軍旗を掲げたタバサ。その瞬間、俺の見鬼が、彼女の両手を通じて軍旗に霊気が蓄えられて行くのを捉えた。
 そう、軍旗を彩る金糸を通じて螺旋を描きながら、旗頭を飾る剣状の飾りへと蓄積されて行く霊気。
 彼女から。そして、周囲の精霊から集められた霊気が蓄積されて行くのだ。

 次の瞬間、掲げられた軍旗を遙か上空へ向け一閃。その時、彼女と俺の視線が一瞬、交わったように感じる。
 いや、今の俺の姿が彼女に見えて居るとは思えない。これは俺がそう感じた、と言うだけ。
 一瞬の内にそう理解する俺。その俺の思考の最中にも、左から右に抜けた軍旗の軌跡を追うかのように、淡い光輝の尾が半円を描き――
 轟――。空気が吼えた。

 振り払われた軍旗の威力とそこに籠められた霊力に大気が震え、発生した衝撃波が無限に降り続けるかに思われた豪雨を斬り裂いた!
 タバサの気配が濃度を増し、柔らかな蒼髪が旋風に舞い、一振りで氷空を埋め尽くすかのようであった矢を消し去る。

 ――成るほど、王太子の英雄化だけでは足りないから、未来の王太子妃の英雄化も図ろうと言う意図か。
 最悪、俺がハルケギニアに帰る事が出来なくとも、タバサだけでもガリアの人々が不安を抱かぬように……。

 かなりシニカルな笑みを浮かべてそう考える俺。短い……男性のような髪型。一振りで戦意を高揚させる軍旗。敵の砦を、寡兵を持っての攻略。
 オルレアンの乙女……もしくはラ・ピュセルと言うトコロか。

 タバサが率いていると言う事は、あの騎兵は王太子の護衛騎士隊。ならば、あの騎士たちはハルケギニア標準仕様の貴族などではなく、真の貴族たち。そんな連中に人間の放つ矢などが役に立つ訳はないが、それでも、この矢の雨を一撃で消し飛ばした、と言う事実に関しては効果がある。

 正直に言うと、同じ人間の兵を相手にするのにタバサを投入するのは反対なのですが……。俺と組んで居た時に彼女は、普通の人間に対してその能力を全力で振るった事は有りません。
 確かにハルケギニア世界。それも戦場で現代日本の道徳やその他が通用する事はないとも思いますが……。

 何にしても、ガリアの軍に半端な攻撃は通用しない。まして現在の天候。陽光が差し込まない分厚い雲の下。昼間である、と言う事で生体機能の一部低下は有るが、いくらなんでもその場雇いの傭兵が、真の貴族対策を戦場で施しているとは思えない。
 それが分かっているので、かなり余裕を持った気分で足元を見つめる俺。この短い間にタバサ
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