第6章 流されて異界
第121話 人生は夢……あるいは
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必要ない。このハルケギニアに存在するユニコーンなどの類でも、彼女――タバサを乗せて疾駆するには、その能力が不足し過ぎて居て、返って彼女の能力を低下させかねないから。
彼女に必要なのは仙人の乗騎。例えば、今、彼女を背に乗せ、飛ぶように――いや、おそらく本当に飛んでいる可能性の高い白虎のような、幻想世界の獣の中でもトップクラスのレア度を誇る霊獣の類。そいつが必要だと思う。
おそらくアレは、ルルドの事件の際に顕われた白虎でしょう。
虎は千里往って千里還る、と言う。もっとも、ただの虎にそんな事が出来る訳はないが、タバサを背に乗せているのは西方を守護する霊獣。
こいつなら千里はおろか、地球の裏側でも行ってから還って来られますから。
そして彼女が手にするのは普段の自らの身長よりも大きいような魔術師の杖ではなく、一流の旗。ごくシンプルな白地に三名の人物の姿。真ん中に青年。その両側に二人の少女の姿が描かれた軍旗。
そもそも軍旗と言うのは部隊長の出自や家紋などを示す物。これから先、通信機器が発達して行けば、このハルケギニア世界でも必要なくなる代物でしょう。何故ならば、あの旗の近くには必ず敵の指揮官が存在している物ですから。これでは相手に指揮系統の中心が其処にあると、わざわざ教えてやって居るような物。これから先は、空軍や長距離の支援砲撃が可能と成って来るので、最初に其処――軍旗の元に存在している指揮系統の中心を潰されて、後は混乱の内に各個撃破される、などと言う無様な結果を作りだしかねませんから。
そんな一般的な軍旗の意味を思い浮かべながら、足元で展開する戦争の場面を見つめ続ける俺。
尚、タバサが掲げる軍旗には、ガリアの王室を意味するアイリスの花を様式化した意匠を使用していない事から、初見でこの部隊がガリアの騎士たちだと見抜ける人間はいないでしょう。
豪雨となって降りそそぐ矢の間を走り抜けるガリアの騎兵。高所に陣取った弓箭隊が放つ弓矢と言う物は必殺の武器と成る。このハルケギニア世界と同じ時代区分の日本では弓は、刀や槍よりも一段上の武芸として認識されているぐらいでしたから。
海道一の弓取りと言う言葉もあるぐらいですし。
そう、これは夢。昼間に行われた球技大会決勝の疲れが見せている幻なのか、それともハルケギニアで現実に起こりつつある戦争……聖戦の一場面なのかは定かではありませんが。
もっとも、これが現実に今、行われつつあるガリア王国によるラ・ロシェール攻略戦の一場面だろうと、今の夢見る者である俺に判断出来る材料はない。
まして――
今、彼女が持つ軍旗はそんな一般的な軍旗などではなく、一種の宝貝化した軍旗。初歩の木行の仙術のひとつ、精神を高揚させる術が施された軍旗。あの旗を一振りすれば味方に勇気を与え、敵の
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