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帝都自警団録
Page2:吹雪舞う北の地にて
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「行くぞ。遅れるなよ」

「隊長こそ!」

 同時に駆け出す。帝国兵の数は凡そ三十程。帝具を持つ二人にとって、それは物の数ではなかった。



† ☆ †



「……貴方たちは、一体…」

 凍った玉座から見下ろす景色に、彼????北の勇者ヌマ・セイカは言葉を失っていた。
 氷と炎と風と血。眼下に広がるのはそれのみだ。
 彼らの精強な軍隊があれ程苦戦した帝国兵は、見るも無惨な姿で雪に埋もれている。

 そんな光景を作り出した二人は、今、彼の前に跪き頭を垂れていた。

「名乗るのが遅れました。俺はアレン・グランソニック。帝都自警団の団長を務めています」

「同じく。帝都自警団副団長、セリュー・ユビキタスであります」

 金の髪を揺らし、こちらを見上げた青年の瞳は、海のように深い蒼。その深奥に揺らぐことのない光を見た。

「……自警団????ならば、帝都を守護するのが君達の役目の筈だ。なぜ、帝国に反する私達に加担する?」

 その瞳に惹かれるものはあったが、簡単に信用するようなことはなかった。自分は仮にも一軍隊を束ねる身なのだから。

「俺達が守るのは、今の帝都ではありません????っ、と。時間がないため手短に言います」

 そう言って、金の髪を持つ青年は立ち上がり、セイカに背を向けた。
 彼が睨む先。本陣の入り口に聳え立っていた炎の壁が、恐らくは帝具だろうが、何らかの力によって消し去られたのだ。

「俺達は今の帝国を変えるつもりです。その為には力が????貴方の能力が必要なんです」

 その右手には、いつの間にか竜の顎を模した剣が握られていた。
 剣に炎が灯る。鮮やかな橙の炎は、やがて荒々しい真紅に色を変える。

「俺に力を貸して下さい。北の勇者よ」

 迫り来る一団に向けて一閃された剣は、主の意に沿って業火を吐き出した。先程の炎の壁とは比べ物にならない程巨大な炎の城壁が、帝国兵の進路を妨げる。


「俺と共に、この腐った世界を変えるんだ」



to be continued
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