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帝都自警団録
Page2:吹雪舞う北の地にて
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き王子、槍を持たせれば全戦全勝と言われる猛者、ヌマ・セイカだ。
 彼とこの厳しい自然環境に鍛えられた北方異民族の進軍速度が予想より早い為早急な対応を余儀なくされた皇帝らは、やむなく帝国最強の切り札であるエスデス将軍をこの地に派遣したのだった。

「そうだな。だが、あの大臣に切り札を切らせる程の逸材であるヌマ・セイカをみすみす取り零す訳にはいかん。奴だけは必ず我らが保護するぞ」

「了解! …と、あれは…!?」

 銃弾入り乱れる最前線よりも離れた氷の大地。吹き荒ぶ吹雪に目を凝らすと、帝国の意匠を施した国旗が、そしてそれを持つ大軍が北方異民族の本陣である城塞都市へ迫ってきていた。

「恐らくエスデス率いる本隊だな。合流されると厄介だ、行くぞセリュー、仕事の時間だ」

「はい!」

 そう言って、金の髪を持つ青年と茶髪の少女は、遥か高くにある崖の上から戦場の最前線目掛けて飛び降りた。

「起きろ、ドラグレイド」

 青年からの起句を聞き、彼の手に握られていた龍の顎を模した剣がその活動を開始する。
 それは禍々しくも美しい赤色の剣。主の意志力を糧として絶大な力を振るう至高の一振り。

 帝具『竜王顕現・ドラグレイド』
 それが青年の持つ剣の名である。

 超級危険種である竜王イグニィルを討伐し作られた48の帝具の内の一つ。
 それは所有者に竜王の力を授けるもの。故に、青年の背中に炎の翼が生えていても不思議ではないのである。

 燃え盛る炎は極寒の吹雪を物ともせず、翼としての役割を果たす。
 落ちて行くセリューと呼ばれた少女を抱きかかえて、そして北の大地に竜王は降り立った。

「ア、アレン様!」

「ああ、よく持ち堪えた。あとは俺とセリューに任せておけ」

 北方異民族軍へ潜入させていた一人の男へ青年は労いの言葉をかける。
 彼には一年以上ずっと任務についていてもらっていた。これが終われば報酬や休息を取らせてやらねばなるまい。

「貴様、一体何者だ!?」

 誰何の声がかかる。それはそうだろう。この銃弾飛び交う戦場に突然空から青年が降ってきたのだ。その正体を探ろうとしないほうがおかしい。そして答える義務が、青年にはあった。

「問われたならば答えてやろう。冥土の土産に聞いて逝け」

 金属製のブーツが雪を踏み締める。雪道を歩くことを前提に作られたこのブーツは滑ることなく、そして振り抜かれた赤き刃は男の首を飛ばした。

「俺の名はアレン・グランソニック。帝都自警団団長だ」

 血飛沫が舞う。真っ白い雪の地面に赤い華を咲かせて、その体は崩れ落ちる。

「同じく! 帝都自警団副団長セリュー・ユビキタスであります!!」

 茶髪の少女の腕が振り抜かれる。トンファーが握られたそ
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