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東京百物語
赤い手青い手
四本目★
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からかわれたのだ。部屋の光は日紅のいる奥まで届いてはくれない。暗い。急に怖くなった日紅は半泣きで物置から飛び出した。



 ・・・あれ。



 その時だった。日紅はなにかに後ろ髪を引かれるように振り返った。



 大きく口を開けた物置。その一番手前には大きなタンスが置いてあった。白で塗装されたタンスだ。その一番下と、下から二番目の引き出しから、手が飛び出していた。



 異様なのはその色だった。だらりと力なく垂れ下がっている手首は、左下が真っ赤、右下が真っ青な色をしていたのだった。



 日紅は自分の見ているものが信じられなくてただ立ち尽くしていた。それは日紅のような小さな子供ではなく大きな大人の手だった。しかもタンスの端と端から出ている手の角度を見ると、一人の人間が両手を出しているのではあり得ない。赤と青、それぞれ別の色を持つ人があのタンスの中には二人、いなければならない。果たしてあの引き出しにはそれだけの人が入るぐらいの空間があるのだろうか。ないのであれば作り物であろうか。いや、あれは手だ。生身の人間の手。そして、日紅がコウモリを追って最初に入ったときには、間違いなくそこには無かった・・・。



 日紅の記憶はここで途切れる。



「・・・え、ちょっと待って普通に怖いんですけど」



 前川がストップとでも言うように片手を突き出した。



「え、怖い、かなぁ?」



 対して怖がりの筈の日紅はなんてことないと言うようにパスタを食べ続けている。今日のパスタは大葉たらこパスタ。絶品だ。



「あんた!怖いでしょ!?物置にあるタンスから手だよ、手!和製ホラーでもこんな展開滅多に見ないわ!」



「んー確かに、今もう一回見たら泣くほど怖いと思うんだけど・・・なんかね、怖くなかったの。その時」



 なんでだろーね、と言って日紅は笑う。



「てゆーかその手があまりにもはっきりしすぎて、逆に現実っぽくなかったからかも?ペンキにつけてたみたいに爪まで真っ青なんだよ?ありえる?あはは」



「あははじゃない!」



「ちょ、やめよ。怖いわ」



「聞いたのさっちゃんでしょ!?」



「こんなガチなのがでてくると思わなかったんだってば・・・」



 坂田は疲れたサラリーマンのようにげっそりしながら全く進んでいなかったパスタ崩しを再開させた。



「好奇心坂田をも殺す・・・」



「うっさい」



 その時、誰かの携帯が振動する音がした。



「あ、電話だ。ごめんちょっと出るね」



 日紅がそう言い、特段気にしない四人はオッケーと指で
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