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空気を読まない拳士達が幻想入り
第1話 幻想郷に北斗現る!!
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いと思うのだが。




     ***




 歩いてどれ位経った頃だろうか。深い森を抜けたケンシロウの目には、古ぼけた家屋が飛び込んできた。相当年期の入った佇まいではあるが、決して空き家と言う訳ではない。その証拠に家屋の回りには生活の跡と思わしき痕跡がちらほら見受けられた。
 何処かで見た覚えのある品々が家屋の回りに無造作に置かれている。その中には一見するとゴミとしか思えない代物までもが其処に転がっていたのだ。だが、だとしても其処からは微かに文明の香りが、人が生きていた残り香が漂ってきた。

「こんな自然の中に家屋が―――」

 その家屋を見たケンシロウは、まるでそれに吸い込まれるかの様にその家屋へと近づいた。
 近くで見れば見る程その家屋は相当年期の入った建物でもあった。
 一見和風の佇まいなのだが、入り口は何故かノブで開くドア式になっている。そして、そんなドアの上にはでかでかと名前の様な物が刻まれていた。

「香霖堂……聞いた事の無い名だ。出来てまだ間もないと言う事なのか?」

 身に覚えのないその名に疑問を抱きつつも、ケンシロウは迷う事なくノブに手を掛け、ドアを開いた。
 古き良き木々の擦れる音と共にドアはゆっくりと開き、その奥の景色が飛び込んできた。
 其処には、ありとあらゆる物の類でひしめき合っている状態であった。
 家財道具から電化製品、果ては置物や掛け軸はもちろんの事、全く見覚えのない古臭い骨董品等々がまるですし詰め倉庫の様に敷き詰められていた。

「此処の家主は一体何の目的でこれだけの品々を集めていたと言うのだ?」

 並び立つ物を見ながらケンシロウは家の中を歩き回った。小さな家屋に見えたが中は案外整理されているらしく、歩くのにそう不便さは感じられなかった。
 しかし、歩く度にこの家の中だけがまるで別世界ではないのかと言う錯覚に見舞われてしまいそうになる。
 
「いらっしゃい。ここら辺じゃ見ない顔だね」
「むっ!!」

 突如として、声が響いた事にケンシロウは驚いた。思わずギョッとした表情のまま声のした方を向く。其処は丁度会計を行うレジの場所だったらしく、そして其処には一人の青年が立ってこちらを見ていた。
 白銀の髪に丸い眼鏡を掛けた細見の男性であり、青と黒の着物を連想させる衣服を身に纏っていた。

「驚かせてしまったみたいだね。店内は自由に見て貰って構わないよ。だけど、中には壊れ物もあるから扱いには注意してね」
「!!!!!!!」

 そっと囁くように言葉を投げかけた青年に、ケンシロウは言葉を返すことが出来なかった。今、ケンシロウの胸の中は歓喜の思いでいっぱいだったからだ。

「ど、どうしたんだい? そんな所でぼうっとして―――」
「ま、まだ……人
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