第1話 幻想郷に北斗現る!!
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していたのであった。
そして、目が覚めたらこれである―――
「此処は何処だ? 確か、俺は何時も通りアパートに帰り布団の中で眠った筈だが?」
目の前に映る世界と昨晩までの記憶との食い違いに困惑するケンシロウ。しばしその場で硬直し、昨日までの出来事をおさらいし始めた。
まず、コンビニでアルバイトをし、その際に店内に入ってきたハエに北斗神拳を使い爆発させた為に陳列されていた商品にハエの残骸が付着した為に総取り替えを行い、更にレジをやった際にまたしても北斗神拳を使用した為にレジを破壊させてしまい手作業で会計を行う羽目になり、結局その後はバイトが終わるまでずっとトイレ掃除に専念する事となっていた。
そして、バイトが終わりアパートへと戻り、そのまま布団に潜って夜を明かしたまでは覚えている。
が、朝目が覚めたら今ケンシロウが居るのは全く見覚えのない深い森の真っただ中だったりする。
「むぅ……目が覚めたら森の中……まさか! 俺が寝ている間に人類文明が終焉し、自然の姿へと戻ったというのか!?」
念の為に言っておきますが絶対そんな事はありません。そんな訳で一人勘違いをしながらもとりあえずケンシロウは森の中を適当に歩き回る事にした。
行けども行けども其処は深い森の中。聞こえて来るのは木々が擦れた際に聞こえて来る葉っぱの摩擦音だったり、鳥や虫達のさえずりだったりと文明化社会の代償として消え去ってしまった物ばかりがケンシロウの目や耳、そして五感すべてに伝わって来ていたのだ。
ふと、ケンシロウはその場に立ち止まり、静かに目を閉じた。
彼の両の目からうっすらと涙が零れ落ちる。
「あぁ、自然は何と美しいのか。こんな美しい光景を兄さん達にも……そして、ユリアに見せたかった―――」
因みにユリアとはケンシロウの婚約者だったりする。詳細は後ほどご説明するとしよう。ネタバレはつまらないし、第一みなさんご存じだろうし。
「だが、こうして俺一人が生き残ったのも恐らく北斗の運命。ならば、俺はその運命に従って生きよう。北斗神拳の伝承者として。そして、唯一生き残った人類として!」
勝手に決意を固めているようだが全てケンシロウの勘違いの末に生み出された妄想の類だったりする。しかし、生憎その場にはケンシロウ以外の人類は居ない為にその妄想を指摘、または批判する者が一切居らず。その結果としてケンシロウの一人妄想劇が淡々と続けられる羽目となってしまっていた。
だが、何時までも泣いている訳にはいかない。手の甲で強引に涙を拭い取り、決意の表情でケンシロウは強く歩を進めた。
自分が何を成すべきなのか?
何故自分だけが生き残ったのか?
その答えを見つけ出す為に、ケンシロウは歩いた。
……まぁ、その答えは恐らく絶対見つからな
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