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画家の夢
1部分:第一章
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少し休んでいたんだだけだけれどね」
 彼は目をこすりながらルートヴィヒの言葉に応えた。
「ちょっとね」
「休むのはいいけれどな」
 ルートヴィヒは笑顔のまま彼に言ってきた。
「それでも。風邪をひいたらどうしようもないぞ」
「そうか。じゃあせめて毛布でも被っておくか」
「いや、そうもいかないぞ」
「んっ、どうしたんだい?」
「画商の旦那が来たぜ」
 こう彼に言ってきたのだった。
「画商のな。催促にな」
「あれっ、早いな」
 彼はそれを聞いて少し意外な顔になった。
「もう来たのかい」
「二時間程度寝ていたからな。時間はもういい頃だ」
「そうか。そんなに寝ていたのか」
 ルートヴィヒに応えながら壁の鳩時計を見る。確かにそんな時間だった。
「それじゃあ」
「絵はもうできてるよな」
「うん、ここにね」
 言いながら部屋の隅に立ててある絵を指差す。それは奇麗な街並みであった。細部まで描き込まれ陰影もはっきりとしている。まるで写真の様であった。
「描けているよ」
「じゃあそれを出してだね」
「うん、そうしよう」
 こうルートヴィヒに話す。
「それでお金を貰ったら」
「どうするんだい?」
「オペラを観に行かないか?」
 それをしようというのである。

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