第二百十七話 九州騒乱その十二
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信長はこのことにもだ、難しい顔で言うのだ。
「それはな」
「それがしもです」
「よくないと思うな」
「はい、どうも耶蘇教は」
「南蛮のことを教えてくれるがな」
しかしというのだ。
「それでもな」
「他の神仏を攻めますな」
「それは日蓮宗の比ではない」
「日蓮宗といえどもです」
「他の神社仏閣を壊さぬ」
そうしたことはしないというのだ。
「流石にな」
「僧兵同士の戦ではそうしたこともありますが」
「それは戦だからじゃ」
「ですな」
「進んで神社仏閣を壊しはせぬ」
「実際に家中でも騒ぎになったとか」
大友家のその中でもだ。
「それが家中の騒乱を招き」
「大友宗麟から人が離れていったな」
「そうですな」
「それはじゃ」
どうにもというのだ。
「あれがな」
「はい、あってはですな」
「ならないことじゃ」
「宗麟殿は狂ったとか」
「そうした言葉も出ておるな」
「はい」
「そうじゃな、大友宗麟のそれがな」
どうにもと言うのだった、宗麟も。
「気になる」
「では」
「耶蘇教についてもな」
耶蘇教とも長い付き合いだ、それで言うのだった。
「少し考えておくか」
「そうされますか」
「何かな」
どうにもとも言うのだった。
「あの教えには危ういものも感じてきた」
「他の教えを攻める」
「そうした気もしてきたわ」
こうしたことも話してだ、そしてだった。
信長は安土から都、そしてだ。
そこからだ、西国を下っていってだ。九州に向かっていた。そうしてだった。
その中でだ、第三陣にいて信忠の周りを固めている織田家の重臣達の一人となっている明智がだ、松永を見つつだ。
そうしてだ、川尻と前野に対して言った。
「この度もついてきていますが」
「はい、それでもですな」
「あ奴は」
「何をするかわからぬ」
「裏切るか」
「若し奇妙様に何かをすれば」
その時はというのだ。
「我等で」
「はい、権六殿が傍を固めておられます」
「あの方が」
織田家きっての攻めの者である彼がというのだ。
「精兵を率いてです」
「おられるので」
「それに牛助殿もです」
「あ奴の兵の傍にご自身の兵を置かれています」
「新五郎殿も密かにです」
「兵を含ませていますの」
「久助殿もまたです」
「甲賀者達を潜ませております」
織田家の重臣達は皆松永に警戒を払い続けている、それでというのだ。
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