第二話
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うって何が?」
「“アンタ達の仕事”の話よ。忙しいんでしょ?色々と」
「まぁ、忙しいと言えば忙しいけど、他の人たちと比べると優遇されてる方ね」
「やっぱり、まだ学生さんだから?」
「それもあるけど、部署の関係っていうのもあるわね。たとえば、業務の大半が外回りの警邏や、総務部でも他部門の業務のサポートを主とするような所は、とてもじゃないけど学生生活との両立は厳しいから」
アタシの幼馴染達の何人かは、中学校に上がる前から、ちょっと特殊な職場で働いている。どんな職場かと言えば、本人達曰く『警察と裁判所が一緒になったような所』らしいのだが、この国にそんな司法機関は存在しない。というか、本部がこの世界には存在しない場所にあり、かつ雇用年齢の最低基準が存在しない。つまり十にも満たない年齢からでも働いている人がいるというとんでもない職場なのだ。───実際にアタシもこの目で見るまでは半信半疑だった───
「まぁ、身も蓋もない言い方をすれば、私たちが“将来有望な人材”だから、ある程度のわがままが許されてるって事よ。局全体でも僅か5%未満って言われてる人材が一気に“4人”、しかも全員、職業能力優秀、容姿端麗な美少女、なんて前代未聞だもの。上としては是が非でも手放したくないのよ」
「ホント、身も蓋もないし、ぶっちゃけたわね」
容姿端麗な美少女って…、まぁ、別に否定するつもりはないけど、それを自分で言っちゃう所がこの子らしいわ。
「私が言ったんじゃなくて、既に広報部でそう宣伝されてるのよ。まったく、上もちゃっかりしてるわ」
菜々星は、そう言って不満そうな顔でコーヒーを啜った。
意外かもしれないけど、菜々星は自分が───というか自分達───が必要以上に目立つ事を嫌がる節がある。本人曰く、『ある程度注目を集める事は必要だが、集めすぎれば必ずどこかで反感を買い、いらない問題が増えて色々面倒』という事らしい。
「そう。それじゃあ、今の職場に関しては不満とかないの?はやてに少しだけ聞いたけど、アンタの職場、“色々と特殊”何でしょ?」
「まぁ、“適正がないと入れないし、配属が決まっても素直に喜ばれない所”だけど、不満はないわ。“私がしたい事”が出来るのは、あそこしかないから」
アタシの質問に菜々星はそう答えた。だけど、菜々星のその眼には、どこか決意の秘めた危うい光が見えたので、アタシは思わず声をかけようとして、
「無理だけはしちゃダメだよ」
それを遮ったのは、すずかの声だった。アタシが言いたかった言葉をすずかに先に言われたので、ほんの少しだけ避難を込めた目ですずかの方を向いたが、そこでアタシは思わず目を見開いてしまった。
すずかは、いつもの穏やかな表情からは一転してとても真剣な顔をしていた。こんな顔は、長い付き合いの中でも数
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