第二話
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で一度もなかった。だからそこまで気にすることもないのかもしれない。
……しれないが、やはり安心できない。確かに怪我をして学校に来たことはなかったが、何度か風邪や体調不良で休んだことがあった。どうしたのよ?と聞いても風邪をこじらしただけと本人は話していたが、思い出すとどうしても不安が拭えない。
そんな風にアタシが色々考えていると、
「大丈夫よ」
不意に菜々星がそう言い、え?とアタシが視線を向けると菜々星はいつも以上に真剣な眼差しでこちらを見ながら、
「“なのはの時とは違う。”確認したけど、不自然な足取りや顔色なんかも特に異常は見られなかったわ。いたって健康体よあの子は」
こちらの考えを見透かしたかのようにそんな事を言ってきた。
「確認って、いつの間にそんなことしたのよ」
「普段私があの子をからかっている時や関節技をかけたときなんかにね」
「え?それじゃあ菜々星ちゃんが遥ちゃんにしている過激なスキンシップって…」
「もちろん私の趣味が九割よ。まぁ、病院に連れていった訳でも“シャマル先生に診せた”訳でもない、あくまで素人に毛が生えた程度の検診だけどね」
もし何か少しでも異常があったら引きずってでも連れて行くわよ。と菜々星は答えた。
そんな菜々星に、アタシとすずかは顔を合わせると、どちらからともなく笑みを浮かべた。
「何よ二人とも突然」
「いや、アンタってなんだかんだで」
「遥ちゃんの事いつも気にかけてるよね」
「………………否定はしないわ事実だし」
菜々星は、すすかの言葉に若干───長年付き合いのある人しか分らない程度に───顔を赤らめ、コーヒーに口を付けた。
「遥ちゃんのこと大好きだもんね」
「それは違うわよ」
「いやいや、傍から見るとアンタ達って十分カップル…」
「それ以上言うならそれ相応の対処を…」
「冗談よ!」「冗談だって!」
目を細め静かににらみ付けてきた菜々星に、アタシとすずかは慌てて謝った。この子を怒らせると精神的苦痛が半端ではないのだ。
以前、私たちにしつこく付きまとってきた男子に菜々星が少し話してくると言って、二人っきりで空き教室入り、しばらくして出てきた男子のあの顔は今でもよく覚えている。何があったのか気にはなり本人に聞いたが、『ただ“お話”しただけよ』と、はぐらかされてしまった。
その後その男子が三日程学校を休んだのを噂で聞き、詳しく尋ねるのをやめた。
もっとも本人曰く、『本家よりはまし』だそうだが。
全く。二人とも悪ふざけが過ぎるわよ。と菜々星が嘆息した後
「あらあら、お友達のお話?」
と、注文したケーキを運んで、こちらに声をかけてきたのは、喫茶翠屋のパティシエ兼看板店員さん、もとい桃子さんだ。
「こんにちは。桃子さん」
「
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