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魔法科高校の有能な劣等生
九校戦開催 初日
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無いからな。
まぁ、精密な調整するなら・・・調整中に試しで使って修正する改善点でも見つけるか」
「お前の要望に応じた、お前専用のCADだが。
確かに実際に使わないと細かな調整は難しいな、解った。問題点を改善する所から、始めよう」
俺専用CAD。
以前使用していたCAD『シルバー・ソード零の型』は九校戦の規定違反で使用不可能状態で、非常に残念ながら別のCADで出場する事となった。
規定違反理由は『spec』の問題。
従来のCAD以上の処理速度・特殊金属『スペルア・インゴット』で形成された前代未聞のCAD。
規定違反を受けても、承諾に納得できる。納得できても、認められないがな。



その度に涙する。
その度に笑顔になる。
何度、繰り返されても忘れる事を許されさず。
何度、繰り返されても覚える事を許されない。
記憶の淵に、心の済に、ずっと残され。その度に笑顔は薄れ、涙する。
笑顔は、不幸を忘れさせる。涙は幸福を忘れさせる。幸福の涙は、流せば流す程に幸せを与え、絶望の涙は少年を強くする。
絶対に、忘れない。
違った記憶は歳を重ねる程に薄れ、消滅を迎える前に消された。
誓った約束を、無月 零は忘れた。
削除された・・・と言った方が無月 零の為に成るのか。
残酷な真実を現像に、変わらない者達の変えられない真実を捧げた。
ありがとう・・・僕を、その先の言葉の続きを無月は知らず。その先の言葉の意味を察する事さえ、叶わない。
現実は残酷だ、その現実を生きるのは困難で、窮屈で、知れば生きる事を放棄させる様な。
その現実を無月は、知って後悔する。後悔する事を止めれば絶望する。なら、絶望の事実を変えれば救われるのか?
無理だ、不可能だ。諦めるのも躊躇わせる現実を誰だって生きるのは嫌だろ?
周囲は絶望。
目の前は失望。
自分は、その両方を備えた化物。
触れれば壊す。なら、触れる事を止める。
楽な道を許さない。自分の足元を見れば自分の生きた人生が、歪んだ物と解る。
懺悔の言葉は人々を苦しめ、後悔の後を察する様に雨は降る。
「俺は、間違ってたのか?」
空模様は灰色。周囲は血の海。
雨は血を洗い流す。浄化される様だ、自身の罪を償わせる様に、無月 零の身体は地面を這い蹲った。
無茶の連続の代償。大切な人達を護る、その建前を棄てた零の罪は脳を蝕み、記憶を貪り尽くす。
母の笑顔。
影の笑顔。
ジジの笑顔。
風香の笑顔。
嫌だ、消えないで! 消えるな!
何度も、囁いた。何度も、呟いた。心の声は無月 零自身を傷付ける。
解ってる。でも、大切な記憶を消さないで! 幼少期の無月 零は祈った。削除される記憶の中の断片に埋まった魔法式に。ジジの託した魔法式に、次の自分に。
後悔は残った。後悔は自分の弱さを屈辱に変えた。
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