月の聖杯戦争の開始前、あるいは終了後
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そこは光に満ちあふれた海の中であった。
上を見ても下を見ても海面と海底遥か彼方にあったて視認できず、回りを見回しても魚の一匹も見当たらず、ただ宝石のように澄んだ青だけが視界を支配していた。
そんな青のみの世界にただ一点だけ対抗色である「黄」の光があり、黄の光はよく見れば一人の若い男であった。
金の髪を逆立てて全身に黄金の甲冑を纏った男……いや、「英霊」はまるで自身が輝いているかのような存在感を放っており、黄金の英霊は腕を組んで目を閉じ何かを考えていた。
「……決めたぞ。このまま別の文明の地に旅立とうかと思ったが、これも一興よな」
黄金の英霊が目を開いてそう呟くと次の瞬間、世界が変わった。
宝石のように澄んだ「青」の海中から、何も存在せず何も見えない「黒」の虚空へと。
「こうも容易く世界と改変と時の巻き戻しが可能とは異文明の遺産とは中々侮れぬものよな。……さて」
黄金の英霊がそう言って前を見ると、そこには一人の少女が横になって死んだように眠っていた。少女の体は光に包まれていて少しずつ光の粒子となっていき、光の粒子は空へと昇っていく。
少女の光の粒子が昇っていく先にあるのは青く輝く一つの星、地球。黄金の英霊は虚空に浮かぶ地球を見上げながら呟く。
「我がマスターよ。非常に業腹なことだが転生した貴様は我の事を初め、今までの全ての記憶をなくしているだろう。
だが魂に刻まれた強き思いまでなくすことはない。故に無欲なようでこれ以上なく強欲な貴様は再びこの月へとやって来るだろう。救えなかった者を救うために、唯一解明できなかった謎を解き明かす為に聖杯戦争に参加するだろう。
その時、我はもう一度貴様と契約を結び、我に相応しいマスターになるように一から調教してやろう。涙を流しながら感謝をするといい。クククッ……む?」
「■■■■■」
上機嫌で独り言を呟いていた黄金の英霊であったが、突然虚空から聞こえてきた「声」に不機嫌な表情となる。
「無礼な。たかが地球の歴史を盗み見るだけの月の眼の分際で、王たる我の決定に異を唱えるか」
「■■■■■」
「ほう? 我が聖杯戦争に参加することは認められないと? ではこの記録は何だ?」
黄金の英霊は「声」にわざとふざけた態度で答えると自身の記憶を思念を通じて「声」の主に送りつけた。その記憶とは黄金の英霊が一人の少女と共にとある戦いに参加した記憶であった。
「■■■■■!? ■■■■■?」
黄金の英霊から送られた記憶は間違いなく偽りのない「本物」であり、虚空から戸惑った「声」が聞こえてきた黄金の英霊は大声を上げて笑った。
「ふははははっ! 月の眼もその様に慌てふためくのだな。これは中々珍しいものを見たぞ? まあ
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