宇宙戦艦ヤマト異伝
宇宙の狼
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を見習い、無限艦隊の波状攻撃に耐えねばならぬ。
絶対に諦めず万難を排し、石に噛り付いてでも生還せよ。
各自、肝に銘じて貰いたい。
『ドメルが滅びる時は、ヤマトも滅びる時だ』
将軍の言葉は、現在の状況にも当て嵌まる。
我々が全滅すれば、地球人類も滅亡するのだからな。
自爆攻撃は厳禁だ、例外は認めん。
『地球人《テラナー》が諦めるのは、死んだ後』と異世界では噂されている模様だ。
我々も嘗ての第五惑星が崩壊の際、移住を強いられた第一次人類の末裔に他ならぬ。
最後の最後まで希望を捨てぬ強い心、勇者の持つ最大の武器を諸君に期待する。
演説の分だけ、休憩の時間を延長する。
諸君は直ちに寝室、食堂に直行し疲労回復に努めよ。
心置き無く、熟睡してくれ給え」
自動録画装置は働き続け、総統の演説も記録された。
3次元立体映像と音響効果も総て、全艦艇で再現する事が可能。
多数の将兵が演説に感銘を受け、沖田艦長の言葉を胸に刻んでいる。
ガミラス宇宙軍は無限艦隊と激闘を繰り広げ、月軌道上の最終防衛線に追い詰められた。
艦隊は被弾損傷が激しく、満足に戦えるのは数隻しか残されておらぬ。
私の乗艦、改ガミラス型宇宙戦艦『ドメラーズU世』。
総統の旗艦、及び護衛の宇宙駆逐艦《スペース・デストロイヤー》のみ。
大気圏内では熱線砲、光線砲の有効射程距離は激減するが。
損傷艦艇は運動能力が低下の為、地上砲台とせざるを得ぬ。
「くそっ、もう水星《テラ》を守る手は尽きた…」
私の希望により再び傍に立つ副官、ゲールの呻き声が『ドメラーズU世』艦橋に洩れた。
「確かに、その通りではあるな。
逃げ道の無い、絶望的状況に見える。
だが、思い出したまえ。
七色混色発光星域の艦隊決戦に於いて、我々は何を見た?
君も、聞いているだろう?
全砲門使用不可能となった際、ヤマト艦橋で古代進が同じ言葉を発した事を。
沖田艦長は最後の最後まで希望を棄てず、巧妙な操艦を命じた。
ドリル・ミサイルの逆回転を待たせ、何時爆発するかわからぬ恐怖にも耐えた。
勝利を確信した我が艦隊を誘導し、一直線上に並べて見せたではないか。
奇蹟《ミラクル》を起こした原動力は、絶体絶命の窮地にも怯まぬ強い心。
沖田艦長は勇者の最大の武器を用い、宇宙戦艦ヤマトに勝利を齎した。
全ての武器を使い果たした後も、勝利の可能性を探し続けた姿勢を見習わねばならん。
それに、まだ、君には礼を言っていない。
ここまで我が軍が戦って来れたのは、君の努力に拠る処が大きい。
急造の最終防衛線《ファイナル・ディフェンス・ライン》は、素晴らしかった。
資材も時間も限られた中で
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