宇宙戦艦ヤマト異伝
宇宙の狼
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一撃離脱戦法《ヒット・アンド・アウェイ》に徹し、劇的に向上した最高速度を駆使。
被撃墜率は劇的に改善され、殆どの搭乗員が無事に帰還している。
多数の熟練者《ベテラン》が姿を消し、新米に頼らざるを得ぬ悪循環を免れたが。
特筆すべきは、瞬間物質移送装置の運用法であった。
発想が転換され、宇宙魚雷と多弾頭爆弾を瞬送《テレポート》。
敵艦の眼前で実体化させ、驚異的な命中率を記録している。
直接照準の雷爆撃を避ける手段は無く、確実に敵艦を撃破。
被弾の際も重防御の襲撃機は破壊を免れ、多数の操縦士達が帰還した。
私は瞬間移送装置で爆撃機や雷撃機を瞬間移動させ、奇襲効果を狙ったのだが。
魚雷や爆弾を直接、敵艦に直撃させる方が理に適っている。
搭乗員達を危機に晒さぬ方策を、なぜ、思い付かなかったのか。
あまりにも単純明快な解答を見過ごした私に、総統は悪戯っ子の様な微笑を見せた。
「私も、全く、気付かなかったよ。
宇宙は、広いな。
君の用意した瞬間移送装置は、百発百中の砲として使える。
人員を危険に曝さず、敵艦を撃破可能と或る人物が教えてくれた。
勉強させられたよ、まったく、盲点だった。
数多の世界が協力すれば、思いがけない効果が生じる。
ヤマト同様、無限の可能性が拓けるのだな。
異世界の賢者に脱帽だが、同時に確信したよ。
平行宇宙《パラレル・ワールド》の相乗効果が実現すれば、不可能も可能となる。
無限艦隊と云えども、無敵ではない。
女神に救われた者達が協力すれば、撃退する事は可能だ。
鉄壁の布陣を敷く時間を稼いだ諸君の奮闘、勇戦は賞賛に値する。
冥王星前線基地も立派に任務を果たし、その役割を終えた。
火星《ガミラス》で食事と睡眠を摂り、体力と気力を回復してくれ給え。
諸君は数時間後、充分に英気を養った上で戦列に復帰せよ」
総統は憔悴、疲労蓄積の色濃い部下達に歩み寄った。
全員と握手後シュルツ指揮の重火力陣地、反射衛星砲要員に慰謝も忘れない。
この方の為なら、死ねる。
そう思った途端、私と部下達の前で、総統は声を張った。
「皆、聞いてくれ。
私から諸君に是が非でも、御願いしたい事がある。
只一言、『死ぬな』と云う事だ。
宇宙戦艦ヤマト艦長、沖田十三が死地に赴く部下の古代守に贈った言葉でもある。
ガミラス軍の将兵に知らぬ者は無かろうが今一度、引用させて頂く。
『古代、死ぬな。
我々が全滅してしまっては、地球を護る為に戦う者がいなくなってしまうのだ。
明日の為に、今日の屈辱に耐えるのだ、それが、男だ』。
冥王星から撤退の後、ヤマトを勝利に導いた実績は敬服に値する。
沖田艦長
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