宇宙戦艦ヤマト異伝
火星の砦
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に撃ち尽くせ!!」
火星の地下に急造された秘密基地から、真紅の砂塵を撒き上げ無数の誘導弾が飛翔。
多弾頭爆弾が敵艦を覆い、ディモス周辺宙域で姿を消した。
「総司令部は無事だ、充分な戦闘力を維持している!
我々を援護してくれているぞ、相互連係で撃退可能だ!!
こっちも負けるな、全砲門解放射撃!
頑張れ、女神を救う為に!!」
「応っ!」
衛星デイモスを刳り抜いた基地、火力陣地を制御する司令室の内部で声が重なる。
ガンツも火星を預かる上官と同様、脳裏に嘗ての体験を想起させていた。
太陽系第11番惑星《エリス》付近で、宇宙戦艦ヤマトに敗死した際の苦い記憶。
『立派な方だ。俺はもっと、この上官を助ければ良かった…』。
痛切な悔恨は一生、消える事は無いだろう。
《女神救出作戦》の発動と共に記憶が回復して以来、寝食を忘れ尽力して来た。
日和見な態度を捨て去り、積極的に意見を具申したと自負しているが。
冥王星《ハデス》前線基地で無限艦隊と戦い、敵の実力を身に染みて感じた。
時間を稼ぐ間に無限の罠、心理的効果を思い知らされた故に他ならない。
火星に急造された防衛陣地へ転進の後、戦訓を踏まえ実戦に即し改修を急いだ。
戦闘報告と実際の体験を基に様々な状況を想定し、出来得る限りの訓練を行った。
時間も資材も、何もかもが絶望的に限られていたが。
努力を惜しまず、敬愛する上官に心底から協力出来たと確信している。
挽回の機会を与えてくれた恩人、時間流を操る星の女神に感謝の言葉を捧げたい。
尽きせぬ後悔を晴らす可能性、廃分岐先の時空を復活させた女神の恩恵に何としても応えねば。
思い掛けぬ敗者復活戦、太陽系防衛戦では納得の行く行動が出来た。
望外の機会と選択肢を与えてくれた恩人、可能性を司る星の女神に感謝の言葉を伝えたい。
例え無限艦隊の攻撃で戦死したとしても、今度は自分の行動に満足して逝ける。
勇敢な部下達にも恵まれた、自分は幸福な指令官だと確信しているが。
敬愛する上官シュルツに直接、惜別の辞を述べる機会を逃した事は痛恨の極みだ。
慙愧の念を或る程度までは晴らす事が出来た、溢れる感謝の想念を伝える術は無いものか。
「無限艦隊の反撃です、重層防御力場が突破されました!」
予想を覆す迅速な新手の殺到、無数の弾幕射撃を受け瓦礫の山と化す反射衛星の群れ。
ディモス内部を激震が疾り電力供給が途絶え、各部署の照明が消失。
司令室の天井が崩落、火星防衛軍副司令官ガンツの意識が失せた。
「ガンツ!」
火星防衛軍の最高指揮官、シュルツの口から痛恨の呻き。
女神救出作戦の開始後、嘗ての頼り無い副官は見違える働きを見せた。
ガ
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