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インフィニット・ストラトス if 織斑一夏が女だったら
第3話《半IS人間》
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ルロットは《グレー・スケール》を足に打ち込み距離を置く。

『それ』は距離が置かれるのを待っていたかのように、両肩の《龍砲》に、右肩の《レールカノン》に、そしてぽっかりと穴のあいた頭に、エネルギーを貯め始めた。

「あんなの、どうすんのよ!」鈴が叫んだ。

三人に絶望が浮かんだとき、遠くから声が聞こえた。

「うああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

ーー勝算があるとすれば、ヒビが入っている足。あれを折ることができれば・・・!

「一夏!?駄目だよ!逃げて!」シャルロットが叫んだ

「あの馬鹿!」鈴も叫んだ。

当たり前だ。俺は学年でも断トツでの最下位。なにも出来ないと思われて当たり前だ。

ーーでも!俺にだってできることがあるんだ!やってみなければわからないだろ!

俺は『自分の前方に角錐を展開させるイメージ』で打鉄を上昇させる。

ーー練習では一度も出来なかった事、今は当たり前のようにできた。

そして三秒後、俺は緊急脱出した。

操縦士を失った『打鉄』は落下する。だが、後部スラスターが噴射し『それ』に向かい、加速する。



そう。あれは俺が細工をした訓練機だ。
細工をしたのは、後部スラスター。発動条件は『両足が三秒以上地に付いていない』こと。
三秒たったらスラスターが作動する、という仕掛けだ。



落下した打鉄は『それ』にぶつかり、『それ』に溜め込まれたエネルギーとともに、爆発した。

すかさず鈴が青竜刀《双天牙月》を『それ』に投擲する。

金属とは思えない、何かの鈍い音が響いた。

《双天牙月》は、動かない『それ』と共に、アリーナの壁に突き刺さっていた。






*





スコールは独り、モニターを眺めていた。

「殺しちゃったのね・・・あの子を・・・」

スコールはプライベート・チャネルを開き、誰かに話しかけた。

「殺されちゃったわ・・・実験体の子」

どこか悲しく、うれしさを孕んだ声。

それは、それなりにうまく行った実験体を失った悲しさと、作戦が成功した嬉しさだった。






*

俺は急いで三人に駆け寄った。

「大丈夫か!?」

三人とも、もう気を失っていた。相当なダメージを受けているのだから、無理もない。

俺は、安堵した。

三人が生きていてよかった

ーー俺が、三人を危険にさらしたんだろ?

俺は今、何にも成し遂げていない。

ーー俺は、本物のクズだ。

自分のわがままのために友人を傷つける。

取り返しのつかないことが起きなければ、俺は気付けない。

俺は、三人を見つめる。

俺のせいで傷ついている
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