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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
狂乱者−バーサーカー−part1/闇に誘われる少年
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ていたのね」
思った以上に早く眠りについたシュウにちょっと驚きを覚えながらエマとテファはそれぞれ感想を呟いた。
「テファ姉ちゃん、エマ。僕が兄ちゃんを見とくから、引越しの準備にかかったらどう?」
「え…いいの?」
「サム兄、シュウ兄のこと嫌いだって思ってたのに」
サムが寝ているシュウの面倒を見るという提案にテファとエマは目を丸くした。自分たちの知る限り、サムだけがシュウに心を開いていない。
「別にそういうわけじゃないって。ただ、まだ怪しいって思うだけで…」
「サム、大丈夫よ。シュウは決して悪い人じゃない。私は信じてる」
「…ふーん」
テファは優しげな笑みを見せてサムに言う。そのときの彼女の笑みが、やたら明るく見える。サムにはそれが余計に不快だった。あんな笑み、今まで自分たちに見せたことなどないはず。それだけの顔を浮かべさせるシュウが、たまらなく許せなかった。
「サム、シュウが目を覚ますまでお願いね」
「うん」
とりあえず頷き、サムは部屋を去るテファとエマを見送った。
さて、と彼はベッドに眠るシュウを見下ろした。シュウはすでに眠りに着いている。目覚めるのは数時間先だろう。
「それにしても、このナイフもすごいな…」
サムは、自分の元に現れた一本のナイフを見て呟く。その刃は吸い寄せられるように
「まさか魔法が使えるなんてさ。こいつのおかげで、こいつを眠らせることができた」
しかも刃が美しいだけではない。このナイフ、なんとメイジでもないものでも魔法が使えるようになるという不思議なナイフだった。そしてこの部屋に来る前、テファたちが目を離している間に、睡眠魔法をスープに仕込ませたのだ。テファたちはともかく、いくらシュウも、機能まで魔法が使えなかった子供が、ナイフ一本手に入れた途端に魔法が使えるようになったうえに、自分を眠らせるなんて思いもしなかっただろう。
サムは狙い通り、シュウが壁に掛けていた黒い上着を手に取り、胸のうちポケットを探る。予想通り、シュウが変身に使っているエボルトラスターと、護身用の銃ブラストショットが出てきた。
もうすぐだ。もうすぐこいつを…。
テファ姉ちゃんのことだ。おそらくこいつも今回の引越しに連れて行くことは間違いない。でも、この数日の間にこいつからあの剣を奪ってしまえばいい。そうすればこいつはもうこの村でいい顔はできない。自分がこんな奴に代わって、テファ姉ちゃんの守護者になれるのだ。
「流石に永眠まではしないさ。目が覚めたその時の、自分の無力さを呪えないからね」
自身の心が歪み始めていることに、少年は気づいていなかった。
ちょうど彼が眠りについているシュウを見下ろしている姿は、窓を通して外から見えていた。それを見ていたのは、1匹のガーゴイルだった。



しばらくして、マチルダが村に戻ってき
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