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ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
狂乱者−バーサーカー−part1/闇に誘われる少年
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力を奪い、あなたのものにする方法があるわ

しかし、シュウへの黒い感情を募らせるサムには、不思議と心が安らぎ、甘美に聞こえていた。

―――――あの男の剣を奪いなさい。あの剣さえ手に入れれば、あの男の持つ巨人の力はあなたのものになるわ。

あの男の力が自分のものになる。それはつまり、あいつが巨人になれなくなる。代わりに自分が、あの銀色の巨人に変身できるようになる。

―――――私が、手伝ってあげましょう

そうなれば、今度は自分がテファを自らの力で守ることができる。あんな男に頼る必要も無くなる。あの時の憎い盗賊たちも敵じゃなくなる。テファや子供たちも、目を覚ますことだろう。そして、自分に再び目を向けてくれるだろう。

―――――さあ、これを

サムの前に、何かが宙に浮きながら下りてきた。それは、一本のナイフだった。
「く…くく…」
それを手に取った瞬間、サムはまるで何かに取り付かれているように、無自覚に笑い出していた。その後ろで、シェフィールドのガーゴイルが怪しい眼光を放っていることにも気づかず。


トリスタニア城からラグドリアン湖に続く連戦が続き、ついにシュウは倒れてしまった。意識を手放すほどではなかったにせよ、丸1日以上は休まないと回復が見込めなかった。
「………暇だ」
以前マチルダが使っている部屋をそのまま資質として使っているシュウはベッドに寝かされていた。休むのも戦いのうちだぞと、少し訓練をやりすぎた日には和倉隊長に注意を入れられたことがあったが、何もしないままというのはなんだかもどかしさを覚える。
「最近のシュウ兄は働きすぎてるんだよ。ちゃんと休まないとお熱が出ちゃうんだから」
(…このじっとしている感じが、もどかしいな)
傍らで水をグラスに注いでいるエマからも注意を入れられるも、それでもシュウは何かをしたくてうずうずしていた。こんなの自分らしくないと思いつつも、何かをしたくて体がさらにうずく。
先日の事件にて、新たな闇の巨人…メフィストと遭遇した彼は、奴とはいずれまた戦うことになることを確信していた。奴は危険だ。実力についてもかなりのものである上に、死人を人形のように操り、相手の肉体よりも精神を追い詰めようとするなどタチが悪い。
元の世界のデータベースにも記されていた通り、奴は正真正銘の悪魔だ。野放しにすればその分だけ奴の手によって犠牲が出てしまうことは必然。できることなら今すぐにでも探して倒さなくてはならない。…のだが。
「気分はどう?」
たった今テファとサムの二人がスープを持って部屋に入ってきた。
テファたちは厳重にこちらを監視しているかのように、交代制でシュウの看病をしてきている。
「…まぁ、悪くはないが…」
「あれだけ疲れて帰ってきたんだから、しばらくお仕事は休んでで」

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