狂乱者−バーサーカー−part1/闇に誘われる少年
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年は白に戻りつつあった。やがて少年以外にも、新しい家族が増えた。ジム、ジャック、サマンサ、エマ。この子達もまた自分と同じ孤児だった。マチルダも生活費が苦しくなることがわかっていたが、サムを助けたのがきっかけで、やはり見捨てることができなくなってしまったらしく連れてきたのだ。しかしテファもサムも苦に思うことは無かった。寧ろ自分たちの同じ境遇の子が新しい家族となったことを喜んでいた。同じ痛みを知るもの同士、そして幸せな日々を過ごすもの同士として、裕福とは言いがたかったが、それでも楽しく幸せだった。
ただ、ジャックやジムがたまにテファにじゃれ付くのを不満に思い、テファのぬくもりをめぐって喧嘩してしまった。もちろんテファに怒られてしまい、そして仲直りをするように言われた。そして次の日にはまた仲良しに戻る。
朝昼晩と食事や遊ぶ時間を共有する平穏な日々が続いた数年後…。テファが17歳になってしばらく経った頃だった。
テファが使い魔として、シュウを召喚したのは。
サムは、シュウの最初のテファへの警戒する態度、鉄仮面のような無愛想さが気に入らなかった。なにより、見た目からしてテファと同じ年くらいかそれ以上ほどの青年であること、テファがここ最近シュウをやたら気にかけていることに気づき、余計に気に入らなく思った。
しかもある日、自分たちがまるで敵いっこなかった盗賊たちにテファが誘拐された日、彼はいともたやすく盗賊たちを撃退しテファを無事救出して見せた。それをきっかけに、最初はシュウを警戒していた、自分を除いた子供たちもシュウを強く信頼するようになった。
そしてシュウも、少しずつだが子供たちの相手をするようになった。ただ、子供との付き合い方にまだ慣れていないのかぎこちなさがあちこちで見受けられ、その度に子供たちやテファからも笑われ、彼は気まずそうに頭を掻くことも多かった。それでも彼は子供たちとの付き合いを苦手に思いながらも、彼なりに向き合いながら家事を頑張り、手伝っていった。
『よかった…シュウって最初は怖い人だと思ってたけど、本当は優しい人で』
テファのシュウを見る目が、だんだんと光っていくことに、サムは内心黒い感情がわきあがっていくのを感じた。
そしてある日、彼は偶然にも見てしまった。
シュウが、銀色の巨人に変身したのを。
あいつが盗賊を撃退できた理由もわかった気がした。あいつは、本当は人間じゃない。だから盗賊に浚われたテファを助けることができたのだと。
このままではテファが危険だと思った。
そしてさらに数日過ぎたある日、疲労したシュウがテファの肩を借りながら小屋に戻るのを見たとき、自分の頭の中に誰かが語りかけてきた。
―――――あの男が憎いかしら?
本当なら、過去の経験もあってこの声に警戒を露にするはずだった。
―――――あの男の
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