狂乱者−バーサーカー−part1/闇に誘われる少年
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な言葉を吐いてきた。
『ドブネズミの分際で、よくもこの私の服を泥で汚してくれたな!始祖の名において八つ裂きにしてくれる!』
明らかに自尊心と傲慢さを吐き出し、貴族は自分の服が汚されただけで少年の命を奪おうとしたのだ。たかが窃盗と服を汚しただけで死刑宣告。地球では考えられないケースだ。
直ちに少年は衛兵に捕らえられる。
『放せよ!この成金野郎!』
死にたくなかったし、少年は殺されるような謂れはない。まして服を汚されただけでここまでいきり立つ貴族の大人気ないにもほどがある脳みそが知れない。抵抗をする少年だが、もちろん相手は大人の集団。勝てるはずがない。
『ボウズ、悪く思うなよ』
剣を引き抜いた、貴族の私兵は少年が盗んだパンを踏み潰し、彼に向けて剣を振り下ろそうとする。
『うあ…』
いやだ、死にたくない。死にたくない!!
少年は殺気までむき出しにしていた貴族への反抗心が薄れ、死への恐怖を募らせた。だが、今まで一人きりで生きてきた自分に味方がいるはずもない。無常にも振り下ろされてきた剣に対して少年は目を閉ざすしかなかった。
が、ここで思わぬ助け舟があった。
『ご、ゴーレムだ!!』
『うぎゃあああ!!』
突如全長20mほどの土の巨人が現れ、その貴族や私兵たちを殴り飛ばしてしまった。
『な、何をしている!さっさと殺せ!』
貴族はゴーレムに向けて反撃に出ろと命じるが、私兵の大半はゴーレムに恐れをなしてすでに逃げ出していた。
『く、くそ!覚えておれ!』
自分に勝ち目がないことを悟ったのか、貴族も捨て台詞を吐いて逃げ出した。
少年は不測の事態に呆けていた。ゴーレムの肩に、ローブに身を包んだ女がいる。彼女が杖を振るうと、ゴーレムは少年を行き成り掴み上げ、自身の肩に乗せてきた。結果として少年は助かったが、何が起こったのかわからず呆然としていた。ただ、この女がメイジで、自分を助けてくれたことは理解できた。
『大丈夫かい?』
『え…あ、うん…』
『ったく、たかが服を汚されただけで…小さい男だね』
先ほどの貴族の、この少年に対する対応を思い出してか、ローブの女は舌打ちする。ともあれ、いつまでもゴーレムの上に乗った姿を晒すわけに行かない。彼女は自分たちを乗せているゴーレムを街の郊外へ走らせた。
なんとか町から撒いた後、女はゴーレムを土くれに変えて少年を森の中の草の上に下ろした。
『そうだ、あんた。名前は?』
『……』
名前を尋ねられた少年だが、答えられなかった。ただ、首を横に振ることしかできなかった。
『そっか、…名前無いのかい。とすると、お母さんもお父さんもいないんだろ』
その問いには率直に頷いた。少し思案すると、女はあることを提案した。
『…そうだ。あんた、うちにくるかい?』
『え……?』
『金のことなら大丈夫さ。ついさ
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