狂乱者−バーサーカー−part1/闇に誘われる少年
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別の誰か?いや、テファは相手の記憶を奪う魔法しか使うことができないし、もし仕えたとしてもそれをシュウにかける理由など皆無だ。というか、自分の妹を疑うなどどうかしている。
ともかく、今はサムを探さなくては。一端部屋を出て、マチルダはテファたちの元に駆け付ける。
「サムの奴、部屋からいなくなってた」
「え?」
「多分トイレにでも行っちまったんだろうけど、探しに行ってくる。シュウの面倒は任せたよ」
「ちょ、姉さん…?」
どこか強引に役目を押し付けてきたような言い回しのマチルダに戸惑いを覚え引き留めようとしたテファだが、マチルダはせっせとその場から離れて行ってしまう。
「ったく、二人そろって世話の焼ける子だね!」
シュウは盗まれちゃいけないものをとられるし、サムはなんだか不穏なにおいを漂沸得せるようなことをしているし。ガキの頃からの波乱万丈な人生と相まって、マチルダはいくらため息をついても足りないと思った。
その頃、姿を一時姿を消していたサムは、村からさほど距離の離れていない森の中に居た。
「やった…!これで、これで僕が…ウルトラマンだ!は、はは…」
これで、自らの手でテファたちを守っていくことができる。もう魔法が使えるからってえばり散らす貴族にも、盗賊にも、あんな奴に遠慮する必要などない。
自分は無敵だ。もう誰にも負けることはない。
湧き上がる感情が抑えきれないあまりに浮かべていた笑みは、普段の本人なら普通に気付くはずの歪みようだった。手に取ったエボルトラスターを眺めながら彼は勝ち誇ったように笑っていた。
すると、そんな彼の力を試そうとしにきたのか、一体の巨大な怪獣が地面をかち割って姿を現した。通常の怪獣の首に位置する先には頭がなく、尾こそが首として機能しているという見た目だけでもどこか不気味さを孕んだ怪獣、『百足怪獣ムカデンダー』。かつてウルトラマンタロウ、メビウスが戦った、百足のように長い首と胴体をもつ怪獣である。
「ふん、もうお前みたいな奴なんか怖くないぞ。僕の力を見せつけてやる」
怪獣を見上げても物怖じせず、ニヤッと笑みを浮かべるサムは、エボルトラスターを鞘から引き抜く構えを取る。だが、その時彼の背後から聞き覚えのある声が飛び出す。
「サム!なにやってんだい!」
振り向くと、自分を追ってきたマチルダがそこにいた。
「マチルダ姉ちゃん。ちょうどよかった。見ててよ、強くなった僕の力」
そう言って彼はエボルトラスターを見せつける。それを見てやはりと彼女は顔を歪ませた。サムがシュウを嫌っていることは知っていたが、まさかここまでとは思いもしなかったし、信じたくもなかった。なるべく自分を落ち着かせようと心の中で言い聞かせながら、マチルダはサムへの説得を図った。
「それはあんたの力じゃない、シュウのもんだ。さっさと返しに
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