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ソードアート・オンライン‐黒の幻影‐
第2章 夜霧のラプソディ  2022/11
17話 見えていなかったもの
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プレイヤーは皆一様に、もう一つの情報を抱き合わせ(セット)で教えられていたみたいダ」
「どんな情報だ?」
「要約するとダナ、当該のスキル及びギミックで召集されたエルフの集団を撃破すると、特殊なアイテムが入手出来る、って話だソーダ」


 手帳をペラペラめくりながら、《敏捷値(AGI)に二十パーセントの補正が入るピアス》だとか《筋力値(STR)に十七パーセントの補正が入るグローブ》だとか、意外にありそうではあるがこの層では入手不可能であろう破格な性能のアイテムが列挙される。この層の隠しダンジョンでも、入手できるユニーク品の性能はもう半分は控えめなものだ。


「こんなアイテムが手に入るカモ、って言われちゃあ誰にも教えたくないってモンだろーナ」
「でも、死んじゃうかも知れないんだよ?それでも、欲しいものなの?」
「ヒヨリちゃん、このMMOって世界はネ、欲張りサンがたくさんいるんダヨ。誰よりも強くなりたい人がたくさんいる世界ナンダ。そんな世界で、自分くらいしか知らないようなすごい強いアイテムの情報を偶然手に入れちゃったラ、多分誰にも教えないで自分だけのモノにするだろーネ」


 心を抉られる言葉だが、それ故に肯定できる。MMOにおけるステータスは、時にそのプレイヤーの性格的な個性よりも重要視されるものだ。ましてやこのSAOでは、ステータスはそのままその人間の肉体的な強さを表す。要は、この世界で生き抜く力の強さだ。俺は、その強さを底上げするために隠しダンジョンや隠しクエストの情報を他者に開示することなく保有している。その点においては、情報を供与されたプレイヤーと遜色無い。同類と言ってもいいかも知れない。


「でも、誰かがアルゴさんに教えても不思議じゃないよね? ………それに、信用できるの?」
「………情報提供した代わりに、漏洩するナって釘刺されてタンダ。イッチョマエに箝口令(かんこうれい)なんて敷いてやがったンダヨ。しかも、情報を得たプレイヤーは皆、第二層での鍛冶屋詐欺の被害者、つまりはステータスがショボくなったプレイヤーを選抜してるンダナー」


 レア品の情報の対価が他言無用とは破格の条件だ。情報を与えられたプレイヤーからして見ても、そもそも誰かに話したくもないだろうが、嘘の露見と告発のリスクを減らすための工作というわけか。そうすると、もうその重装備プレイヤーは人命の為に行動していたのではないのだろう。


「悪質だな」
「犯人、見付けなきゃだね」
「ソーダネ、もうひと頑張りカナ?」


 ヒヨリとアルゴが話すのを聞きつつ、ふと、考える。
 重装備プレイヤーから情報を受けたプレイヤーは皆、レアアイテムの情報を同時に教えられていた。
 それは恐らく、レイやニオのPTも同様の筈だ。しかし、彼女達
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